Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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お知らせ【アポロがラジオになりました】

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月面管制塔よりこんばんは、オペレーターBです。

かねてより我々の月面基地にトントンカンカンと建設しておりましたラジオアンテナが竣工しまして…

 

この度apollo96ラジオプログラム、「Moon,Milk,Overtrip」のsoundcloud配信をはじめました。

 

 

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第一回はオペレーターミヨシと暫定メインパーソナリティ・べしちゃんの対談(という名の飲み会)のもようをお伝えしています。

 

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作業BGMにありかもしれないです。聴いてみてね。ステイチューン!

 

P.S.

ブログ共々すこし模様替えしてみました。

This program is brought to you by beshichan

 

物語で楽しむボブ・ディラン「Desire」

 

ボブ・ディランってイケメンだよね。どうももちこです。

今回は「ボブ・ディラン聴きたいとは思うけどなんか手出せん」って感じの人に興味持ってもらえるキッカケになるような記事です。気楽に読んでね。

 

まずボブ・ディラン聴こう!となった時にとりあえず超名盤から聴くかぁと「Highway 61」とか「Bringing It All Back Home」なんかを作品の解説と歌詞対訳とかムック本ひろげて読みながら聴いても理解するのに時間がかかるんですよね。なんとなく聴いてみたい~と思っても挫折しそうだしそもそも最初からこんながっつり聴きこむわけないですよね。(少なくとも私はそう)

 

というわけでおすすめなのがこの「Desire」です。

 

 

 

「ボブ・ディランで好きなアルバムは?」と聞かれたら私は真っ先にこの「Desire」を挙げます。

なんてったって中古レコ屋でボブ・ディランコーナーを見るたびいつも日本盤が安く、手に入りやすい。(大事だよね)

そして曲を聴けば砂埃の舞うアメリカ西部のような情景が浮かぶメロディー。

歌詞対訳をみれば短編小説のように一曲一曲にストーリーがあって入りこみやすく、予備知識なしでも楽しめます。

なおかつ人種偏見、不公平の訴えといった社会的要素と彼お得意の軽やかな言葉遊びも含まれているいいとこどりアルバム。

 

というわけで印象的な曲をピックアップして私的解釈で解説していきます。

 

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1.「Hurricane」

『ピストルが響いた酒場の夜…』という修羅場から始まる歌詞。

黒人というだけで酒場で起きた殺人事件の犯人として

白人警察官に無理やり罪を負わされた悲しい男性の歌です。

 

2.「Isis」

めちゃくちゃ大まかにいうと奥さん(Isis)を置いて一人旅に出てやっぱ愛おしくなって帰ってくる勝手な夫の歌。

冒険中の描写とかもさながら小説のよう。

Isisへ対する愛情もミステリアスで訳アリぽい。深い。

  

4.「One More Cup Of Coffee」

 このアルバムの中で一番好きな歌です。

ある女性との別れを抽象的に書いていて、かなり幻想的で美しい歌詞です。

 

ライブ盤の「BOB DYLAN At Budokan」の曲のアレンジがまた渋くて最高。

 

6.「Joey」

1972年にNYで殺された実在のマフィア、ジョーイー・ギャロについて歌った追悼歌です。社会のアウトローの半生をボブディランが歌うと本当にサマになります。

 

7.「Romance In Durango」

人を撃ってしまった主人公が婚約者と砂漠を渡りドゥランゴという町に逃げるまでの話。

ドゥランゴについたら式をあげて幸せになるはずが、途中で追手に撃たれてしまいます。

「きこえたのは雷か?俺の頭はくらくらする

夜じゅうには着けないかもしれぬ

泣くな いとしのきみ まもなく馬はドゥランゴにつく

がんばれ いのちよ まもなく砂漠はおしまいだ」(歌詞抜粋)

 

……死ぬな~~~~~~!!!って感じですが、この「まもなく砂漠はおしまいだ」で終わらせるところがいろんな意味を感じさせてきます。憎い。

 

9.「Sara」

当時ディランのバックコーラスをしていた女性と浮気をして離婚危機になったボブディランが名誉挽回のため奥さんへ捧げたラブソング。(一年後に離婚します。)

 

「サラ、サラ わたしのだめさかげんを許しておくれ」

「わたしを捨てないで、行ってしまわないで」

 というストレートな歌詞がボブディランの人間味を感じます。

 

 

この記事を書き始めた日の夜にボブディランのFUJI ROCK FESTIVAL'18の出演が決まったという情報を知り、布団の中で号泣しながら人生初のフジロック行きを決めました。

 

最近のボブディランはアメリカのスタンダード曲のカバーをしているのでジャズ好きの私にとってもとても楽しいアーティストです。

苗場で「That Old Feeling」とか「Autumn Leaves」が聴けたら泣きます。(それでいいのか)

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それではみなさん、今年の苗場で共に号泣しましょう!!!

 

もちこ

ビル・エヴァンス コンセプション 1

私の大好きなジャズメン、ビル・エヴァンス記事第一弾目である。

タイトルはエヴァンスの最初のリーダー作、ニュージャズコンセプションズからもとっているのだが己の考えも自由に反映させ、日々発見や勉強もしていきたいと言う思いでこのタイトルにした。とりあえずウイスキーでも用意して気軽に読んでいただきたい。

 

 

エヴァンスにまつわる書籍を読んでいつも感じるのだが、内容が難解であるように思う。(私がとことん無知だからかもしれないが…)

彼のクラッシックへの造詣の深さを鑑みると、難しい言葉で紹介せざるをえないというのも納得できる。

しかし、あの誰もが好まざるをえない美しい響きはあらゆる音楽ファンに幅広く愛されている。知能を持った難解な音楽であることに気付かせてこない為、初心者でも上級者でも皆あの美しい音楽の虜になってしまうのだ。これも彼の凄いところである。

 

 

エヴァンスはベースとドラムスの『ピアノ・トリオ』で知られているが、エヴァンスのピアノ・トリオは従来のモダンジャズにおけるものとは一線を画しているのだ。ピアノ・トリオは低コスト編成などとも言われているが(笑)、それぐらい鍵盤楽器は万能であり、メロディと和音の両方を奏でることができる上に打楽器としての役割だって取れる。

 

エヴァンスが活躍する以前のジャズ・ピアニストたちは、ほとんどがバド・パウエルに影響を受けていた。(パウエル派という)

彼らはトリオの演奏の中でピアノが圧倒的中心であり、右手でシングルノート(単音)のメロディーを弾き、左手で根音を合いの手程度で弾く『管楽器スタイル』。

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これに対しエヴァンスは近代音楽要素を取り入れ、ジャズピアノをより芸術的なピアノ音楽として昇華させる。ジャズの純粋な即興演奏の精神を重要視し、ベースやドラムとの対等なインタープレイ(アドリブ)を実現させた。

 

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先ほど近代音楽というワードが出てきたが、エヴァンスはフランスの作曲家であるドビュッシーが切り開いた『印象主義音楽』に影響を受けた。

これは画家のマネ、ピサロ、ルノワールらが行った『印象派運動』から影響を受けたもので、常に構成的、色彩的な音楽だった。

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 ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」

 

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こんなアルバムがある。

「THE PARIS CONCERT1,2」

 

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これはエヴァンス最後のトリオのライブ盤である。

この時期のエヴァンスは薬物中毒のせいで手は二倍以上にむくみ、鍵盤もろくに押さえられなかった。健康状態は見るからに深刻であったが、本人は治療を拒んだのだ。それは彼は常に『死』というものに向き合っていたから延命の意志がなかったのかもしれない。(もちろん命ある限りピアノをたくさん弾きたかったというのもあるが )

そしてこの最後のトリオは彼の死に対する考えと芸術家としての一生に呻吟し、陰鬱な和音の伴奏がつけられたかのような儚くも美しい内容となっている。

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 彼が鍵盤に触れることによって一つ一つ音が生まれる。それが印象派の絵画の筆のタッチのごとく色彩的である。そしてその1音が空中に吸い込まれ、音の波紋を作り永遠に広がる…それがエヴァンスのピアノだ。そしてこの『Quiet Now』は特にエヴァンスのキャリアの中でも最高の演奏だと思う。この曲を聴きながら目を閉じると、色彩を持った音の海に沈んでいく体験ができる。第1弾目はこの曲で締めたいと思う。

第2弾目はいつかな…

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もちこ 

可愛いだけのPINKじゃつまらない!いま聴くべき「CHAI」とそのリスナーが聴くべき「GIRLI」

こんばんは!近頃よくお見かけしますね、べしちゃんです。

まだまだ寒いことかと思いますが日本では暦の上では春を迎えたそうです。我々月面管制塔にいる設定の身分としてはあんまり寒いも温いも関係ないんですけど、リアルに過ごしている大阪では少しずつ日差しも暖かくなりつつあり、桃色に染まった春がますます待ち遠しく思えます。

桃色?ピンク。そう、PINK!

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関係ない何かが今よぎったが、昨今1番アツいPINKと言えば、昨年晩秋ファーストアルバム「PINK」をリリースし、今ノリに乗ってるCHAI!

そしてそんなCHAIを聴く人ならばこれも聴け!そろそろ絶対バズる、蛍光PINKのスーパーニューカマーGIRLI!

今回はそんな二つのPINKの紹介をば。

 

 

 

NEOカワイイの旋風は止まらない!今をときめくCHAIの魅力

もう単独のチケットが全然取れないしゴリゴリに海外遠征もこなしちゃう、いま日本のバンドシーンで一番キテるオンナたちことCHAI。まずは一度彼女らについておさらいしよう。

 

 

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〜以下公式ウェブサイトより抜粋〜

ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組、『NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド』、それがCHAI。

誰もがやりたかった音楽を全く無自覚にやってしまった感満載という非常にタチの悪いバンドで、2016年の春以降、突然いろんな人が「CHAIヤバい」と韻を踏みながら口にし始め、ある日突然ノンプロモーションなのにSpotify UKチャートTOP50に代表曲『ぎゃらんぶー』が突如ランクイン! (※最高位36位)。

 

ほんまそれ〜自己分析のプロ〜もうアタイ書くことな〜い…なのである。

とにかくタチが悪い。コンプレックスはアートなり〜というコンセプトを掲げて笑顔全開で難なくゴリッゴリの音楽を演っちゃう彼女らにとって、それこそ世に言うコンプレックスである外見的ポイントであったりだとか、女性性であったりだとか、その持てる全てが武器なのだ。

武器は武器でも彼女らの其れはむき出しの銃器のようなかたちをなしているわけではない。コンプレックスという言葉については、何か無理くりポジティブな御託を並べ肯定を促す従来型の対応はしない。例えるならば、

''もともとそこにあるもんなんだから、そういうもんでしょ?''

といった、非常にナチュラルなスタンスで、リスナーのCHAIというバンドに対する肯定、はたまたリスナー自身の持つコンプレックスへの肯定を、音楽という媒体で促す。このスタンスは、強いコンセプト性を持って創作活動をすることについての一種の完成形であるように思える。

彼女らが女性であるということも同じことが言える。ガールズバンドなのにすごい、女だからこういうスタンス、といった文脈は一切彼女らには通用しない。先述のコンセプトの部分と同様に、彼女らが持って生まれたオンナであるという前提をただ最大限活用しているだけなのだ。

だからこそそこら辺のガールズバンドとは一線を画した存在であるし、彼女らの名乗るところのオンナバンドという言葉がしっくりくる。

 

これらのブランディングは計算づくなのか、はたまた本当にほいほいっと自然にここまで勝ち上がってきたのかはわからない。どちらにせよ最高にタチが悪く、そういうところがまたNEOカワイイ。

 

昨年10月に発売された彼女らのファーストフルアルバム「PINK」。

こりゃまたえらい名盤だ。あくまでファーストなので先述のコンセプトを主軸にしながらも、多岐にわたった色を持つ楽曲で魅了する。

ボーカル・マナのやわらかな歌声にユーモラスで愛嬌たっぷりのリリックが乗り、そこに変幻自在のカナのギター、ユウキユナのゴリッゴリに聴かせるリズム隊。普段邦楽聴かないという層にもサウンド面からがっつり響くはず。

まずはご一聴あれ。めっちゃNEOカワイイから!テンキュ。

 

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 ‎CHAIの「PINK」をApple Musicで

 

 

蛍光PINKのHOT MESS、英国発ネクストガールラッパー「GIRLI」とは 

 

CHAIのことなどもうめちゃくちゃ知っとるわ今更野郎めと仰ったそこのあなた、アイノウテンキュ。

そんなあなたに聴いてほしい、もう1人の最高のオンナを紹介したい。

 

 

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見よ、この見たからに「PINK」っぷり!

彼女は英国がぶっ放すネクストガールラッパー、GIRLI。ミュージシャンと活動する傍らプロデューサーとしても活躍している。また、CHANEL×i-D ''The Fifth Sence''でもフィーチャーされた経歴を持つ。

ヤバいのはそのインパクト絶大なビジュアルだけじゃない。本拠英メディアにて”urban-cyber-electronic-sugar-dance-pop”(なにそれシューゲイザーバンドか???)と称されたそのヤバい音楽は、GorillazやBrooke Candy、延いてはJ-POPからインスピレーションを受けているという。

 

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これは彼女の音楽活動最初期のトラック。ゴリゴリのリズムトラックに散りばめられたフレークシールのようなサンプリング(マリオの死に音からiPhoneの通知音、謎の日本語まで)。チップチューン的でありながらも、毒々しくドープ。そしてそこに乗るのは明らかに過剰演出している「カワイイ声」。確かに人は選ぶ音楽ではあるが、あえて言わせて!最高かよ。

 

バチボコ反骨精神とkawaiiカルチャーにエレクトロにラップと闇鍋状態で展開する彼女の楽曲とその唯一無二の世界観。

とりあえずピンク、あとは好きなものを詰めて煮込む。そしたらあとは勝手にGIRLIの名前に着いてくる。といった具合の彼女の掲げるコンセプト。先述の曲のようなあざといチップチューンであっても、ダブステの要素を取り入れたダークなエレクトロ調の曲でも、何をやっても確かにGIRLIでしかないのだ。つまらないという意味では毛頭ない、それくらい彼女そのものが面白いのだから。

 

そんなGIRLI嬢は昨年末、EP 「HOT MESS」をリリースしたばかり。これを機にあなたもGIRLIの闇鍋を味わってみませんか。ちなみに1997年生まれの彼女と筆者はまさかの同級。やっべえな負けてらんねえわ。

 ‎GIRLIの「Hot Mess - EP」をApple Musicで

 

両者とも狙ってやっているのか自然とそうなったのか、そこを見せずにズルイ笑顔ではぐらかすブランディングが上手い。だからこそ我々リスナーはある種の安心感を抱いて彼女らの繰り広げるPINKの世界にどっぷりと浸かれてしまうのだろう。

さあさあまだまだ寒いですが、この2つのPINKを聴きつつ、今しばらく春の訪れを待ちましょう。そして桃色の花々が咲き誇る頃にはどっピンクのヤバい強えオンナに様変わりを目標に。本日のオペレーターはべしちゃんでした、テンキュ❤︎