Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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Temples 来日公演に向けて!火山の国ニッポン万歳!

11月は待ちに待ったテンプルズの来日公演だ。度重なる来日ラッシュに疲れ始めた皆さんには、この記事を公演に向けた起爆剤にして頂けたらと思う。

テンプルズが今までに出したアルバムは2枚、後は5曲程度のB面曲があるのみなのでさっと概要を掴むのは簡単だ。
ここでは一歩踏み込み、あまりメディアに取り沙汰されなかった2ndアルバムのヴォルケーノと、個人的ライブの見どころについて語ろうと思う。

 

待ちに待った2ndアルバム、Volcanoについて

www.youtube.com フジロックでは演っていないヴォルケーノ収録曲。

昨今の新人バンドに珍しくない2ndアルバムでの失速という現象は当然テンプルズにも心配されていたわけだが、2ndアルバムのヴォルケーノは明らかに我々の期待を超える出来で待ちくたびれたファンを安心させてくれた。
実は1stアルバムであるサンストラクチャーズから3年空いての2ndアルバムである。本人たちとしても2ndアルバムを急いでクォリティを落とすことを避けたかったのだろう。実に懸命な選択だったと思う。
ただ時間をかけすぎた分、世間の注目は離れてしまったし、あっと言われる新鮮さで批評家たちを惚れさせるほの出来とも言い難いものでヴォルケーノはセールスも知名度もデビュー時の飛躍感には劣っている。しかしとにかく良いアルバムなのは確かだ。

 

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前作との違いは概ねアートワークの変化に相似だ。

サンストラクチャーズのアートワークが不思議な建造物(実在する)とレトロスペクティブな青年たちの遠景であったのに対し、ヴォルケーノのアートワークはシュールレアリスティックな象形だ。ヴォルケーノのサウンドは過去のムーブメントの焼き増し以上のもので、奇異で独自性のあるものだ。時間が長く経った分だけ新しい技術アイデアが散りばめられ、過去からのレファレンスも幅広くなった。

キーボード・ギター担当のアダムのシンセのバリエーションが広がったのはもちろん、ライブではベーシストのトーマスがキーボードの前に座る場面も見られた。


このアルバム、敢えて例えるなら天地創造。4人の覡は富士(FUJI?)の頂から人に創造の神話を語ろうとしているのだ。
ケタリング神話の第2章ヴォルケーノには、我々が如何にでも解釈できるくらい鮮やかなシュールレアリズムが鳴り響いている。

やはり拝めるアイドルはテンプルズの他にない。

 

www.youtube.com  2015年にはVolcano/Saviourというタイトルで既にライブで披露されていたOh! The Saviour。今年はまだ演奏されていない。

 

余談だが、実は先程少し富士山と言う言葉を持ち出したのには理由がある。今作のタイトルであるヴォルケーノが指す火山はほぼ確実に富士山なのである。
「何だ火山なんて世界中にいくらでもあるじゃないか。いくら日本が好きだからって富士山とは限らないのでは?」
という声が聴こえて来そうだが理由は以下の通り
本人がインタビューでそう語っているから

ジェームズ

「ヴォルケーノの中で最初に書かれた曲はOh! The Saviour。僕が唯一ホテルの部屋で書いた曲だと思う。あれは日本の富士山にいた時だった。」

インタビュアー

「だから歌詞に火山と出てきて、それが最終的にアルバムタイトルになったと?」

ジェームズ

「その通り」

www.billboard.com

 

大概Fuji Rock期間中の苗場プリンスホテルでの出来事だろうと推測するが、そうであったにしても彼は富士山に居たつもりであり、ひょっとしたら本当にツアー中富士山に立ち寄っていたのかもしれない。
しかしまあとにかく、Oh The Saviorの歌詞と曲の原題に用いられた火山とは富士山からの着想なのだ。そしてアルバムタイトルはその曲から拝借と…
日本に生まれて良かった。

こんな日本人にとって特別なアルバムであるので僕の思い入れも深いです。一度聴いてさらに歌詞を読んだりでもすれば、僕が勝手におとぎ話をでっち上げてしまいアルバム紹介で妄想ばかり語る理由も分かるはず。

 


ここからは月末に控える来日公演に向けて今年のツアーで既に演奏されている曲の中から個人的に熱い曲を紹介したい。

 

Certainty

www.youtube.comヴォルケーノからの先行シングル曲だ。この曲はイントロからもう最高。フィルインからの図太いシンセベースで緊張が走り、メインリフですぐ聴者は最骨頂に達する。
ちなみにフジロックでは最前列のど真ん中にいたのだが、サートゥンティーの熱波をまともに食らってしまった前方エリアは気づけばリフをシンガロングしていた。リフのシンガロングがテンプルズのライブで起こるのだ。本当に楽しかった。一番の盛り上がりどころの様に感じたのでたくさんはしゃぎたい。

 

Ankh

www.youtube.com

Ankhはテンプルズを象徴する曲の一つ、またアンク「☥」とはエジプトの象形文字で生命を象徴する。1st期の曲だがアルバムには未収録、元々はColours To Life のB面曲で日本独自盤であるシェルターソングEPにも収録されている。
もちろん一番の見どころは、間奏のシンセリフだ。ジェームズの歌の後にさっと静かになりベースだけが孤立し、その次の瞬間一気に印象的なリフが来る。ぼくは毎回YouTubeで動画を見る度に、はぁ自分はこの瞬間のために生きてきたんだなと安直に思ってしまう。
(残念ながら今ツアーでの演奏頻度は高くないので運良く見れたらラッキーほどの気概で。)

How would like to go?

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ある意味2ndアルバムのヴォルケーノで最も地味な曲と言えるが、フジロックでぼくの記憶に最も印象を残した曲はこれである。ライブ映像を見てもあまり伝わらなさそうなのでiPhoneで撮ったフジロックでの写真を載せておく。かなり神聖な瞬間だった。ジェームズがギターを置いて歌うシーンは心が奪われる美しさだ。

 

Mesmerise

www.youtube.com

スタジオアルバムの音源と全く違うことになるのがこの曲。アウトロが延長されなんとも最高だ。どこかのインタビューで「本当はアルバムでもああやりたかったけど流石に生意気だと思って思いとどまった」みたいなことを言っていた記憶がある。シューゲイズバンドでホロコーストパートと呼ばれる轟音パートに似ているとも言えるが、この曲のアウトロはより多面的なサイケでとても瞑想的だ。
僕は今年のフジロックこれを楽しみにして行ったと言っても良いくらいこのアウトロを愛している。
ちなみに「メズマライズは終わらない」とジョジョの奇妙な冒険 第4部のサブタイトルにもなっている。嘘だ。

 

以上
この辺りがライブでの見どころかと。

 

それでは皆さん楽しんで来てください。
by Merah aka 鈴木レイヤ