Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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私の大好きなFlumeについて

大好きなFlumeというDJ・プロデューサーについてお話しします。(唐突)

自己紹介するのを忘れておりました。

Apollo96へ寄稿していきますマテです。

TwitterのIDは  @komachi_2333 です。

 

初投稿なので、ここ2年で一番グッときている

Flumeを時系列で紹介したいと思います。是非音楽聴きながら読んでね!

Never Be Like You feat. Kai - Flume

youtu.be

 

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オリジナル2ndアルバム「Skin」が、

2016年5月にリリースされた。

Flumeは既に、本国オーストラリアではチャートに必ず登場するほどの活躍ぶりを見せているが、

「Skin」は豪州のミュージックアワード2016において七冠に輝き、

更にはグラミー最優秀ダンス・エレクトロ・アルバムを受賞、カナダの女性ボーカルKaiを迎えた

アルバムリード曲「Never Be Like You」は、ダンスレコーディング賞にノミネートされた。

アメリカにてプラチナムディスク認定された「Skin」は、まさに転機となるアルバムであった。

ここまで業界から高評価を受け、注目される理由は何なのか。

彼の現時点においての最新フルバムであり最高傑作である「Skin」は、

私たちに何を訴えようとしているのか?

 

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FlumeはHarley Edward Stretenによるソロプロジェクト。

オーストラリア・シドニー出身。幼少からピアノやサックスなどの楽器に触れて育ち、

11歳にしてトランスミュージックに出会って以降は、

打ち込みによる音楽制作を始め、エレクトロミュージックに傾倒していったという。

その当時作られた楽曲群は今もyoutubeにあり、その作品群からも現在のflumeの楽曲の

特徴である浮遊感が聴きとれる。

2013年にはオーストラリアのレーベル「Future Classic」より、

デビューアルバム「Flume」をリリース。

満を持してのセルフタイトルであり、まさに自己紹介を込めた作品であった。

Sleepless feat. Jezzabell Doran - Flume

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当時のダンスミュージックシーンでは、ダブステップや、あまりにも説明的なビルドイン~ドロップを

繰り返すEDMが00年代後半から流行しており、アンビエントを内包したドリーミングな彼のサウンドは、

目まぐるしい曲の展開がもて囃されたメインストリームの流れとは逆をいくものであった。

それらと比較すると単調に平凡に聴こえるかもしれない。

しかし、巨大な音楽市場から離れたオーストラリアに活動の拠点を置いていたからこそ、

彼はのびのびと好きなものを作り続けられたのかもしれない。

制作する者にとって、場所性とは切っても切れない要素である。

 

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海の近くで生まれ育った彼は、サーフィンが得意らしい。

 

 

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Tennis Court (Flume Remix) - Lorde

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You & Me (Flume Remix) - Disclosure

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Flumeは2013,14年と立て続けに、Lorde、Disclosureと言ったビッグネームの名曲のリミックスを発表した。

この2作品はいまだにフェスティバル等マスなクラブの現場でも流れており、

完全なオリジナルではないRemixでありながらも、2010年代のエレクトロニカにおいて決して無視する事の

出来ない重要な作品達である。

 

この作品群あたりで確立された潮の満ちひきの様な独特なシンセパッド・サウンドは、

その当時革新的であった。

周波数を制御するフィルターによって、こもった音色から明るく開けた音色まで、様々な音色を

一度のストローク中に一繋がりに生み出すことが出来る。

ビートの構造は、躍動的なヒップホップや、ポストダブステップ的な組まれ方をしており、

あえてクオンタイズ(レコーディングした音のタイミングを補正する機能)を使わず、音に若干のズレを残す

事で人肌を感じるエモーショナルなグルーヴを生んでおり、無機的な音像でありながらソウルフルである。

高解像度でエレガントなパッドサウンドは多くのプロデューサーの作品に多用された。

また、この頃からアナログシンセ、木質、金属質な音色、オリエンタルな楽器などの

有機的な音を使うエレクトロダンスミュージック作品が増えた。

 

 Firestone feat. Conrad Sewell

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Love For That feat. Shura - Mura Masa

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It's Strange feat. K.Flay - Louis The Child

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Louis the childはロバート・ホールドレンとフレデリック・ケネットによるエレクトロユニット。

2人は今エレクトロニカの土俵に立っていながら、自分たちの曲を紐解くとロックミュージックだと言う。

そう言い切れる所以は、過去に2人共バンドを組んでいて(片方はブラスバンドをしていた)、

生演奏の経験が多分にあるからである。

彼らのように、流行と辻褄を合わせながら、自分のルーツに則って新しい価値を生み出すプロデューサーは少なくない。 

 

Dye - Lido

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Lidoは元々クラシックを学んでいたピアニスト。楽曲を聴いてもピアノがリードする場面が多い。

 

The Vase - Seiho

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Seihoの楽曲には、ルーツであるジャズと電気的なベースミュージックが混ざり合っていく印象を受ける。

以上に挙げた彼らの様に、表面的なサウンドプロダクションだけではないアプローチのエレクトロニカが

次々と誕生し、EDM以降のダンスミュージックに多様性を生んでいる。

 

 

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(話が逸れた)

Flumeはセカンドアルバム「Skin」の制作にあたり、より多くのクリエイターと仕事が出来るようにと、

2015年後半から活動の拠点をオーストラリアからロサンゼルスに移した。

「You & Me」「Tennis Court」等のremix作品のヒットによって最重要人物となったFlumeは、

コンセプチュアルにアルバムを発展させていった。

以降は、その2ndアルバム「Skin」に収録されている楽曲を紹介する。

 

 

Smoke & Restribution  feat. Vince Staples , Kučka

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「Skin」では、(強引に聴いていけば) たびたび二面性を垣間見ることが出来る。

Smoke & Retributionでは、暴力的に展開するVince Staplesのラップが跳ねるパートと、

Kučkaの繊細なバラッドパートで構成されており、非常に明確な対称性がある。

 

Numb & Getting Colder feat. Kučka

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Flume曰く、音響的・実験的なアプローチと、ポップサウンドの融合がこの曲のコンセプトである。

 

Wall Fuck

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壁ファ○ク・Wall Fuckにおいても、相反する2パートがある。

更に壁ファ○クでは、それらが組み合わさる3つ目のパートが用意されている。

サンプリングされたようなボイスが単調に続くパート、

低いベースを基調とした、地べたを這うような重いパート(本人曰く、宇宙の切れ目を意識したとの事)、

に分かれている。

そして、2つのパートの周波数帯が絶妙に同居し、混ざり合っていくクライマックス。

 

Pika 

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アルバムの中盤に位置するインタールード「Pika」では

歪んだシンセサウンドと、クリアなシンセサウンドが1つの々メロディを奏でる。

前者の音が持つ迫力や存在感と、後者の音が持つ明瞭さ、

正反対な音像が重なりその上にFlume自身の歌声が軽やかに響く。

 

Take a Chance feat, Little Dragon

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空間を埋め尽くすほどダイナミクスでありながら、

手で触れても つき抜けてしまう透明感と煌きがある。そして、

ふと目を凝らすと映るノイズは泡として、浮き沈みする動きは波として、

私たちの体内に染み渡り、いつの間にか聴き手の一つになるのである。

 

Like Water feat. MNDR

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アルバムのヴィジュアルのモチーフはジギタリスという花である。

彩度の高いピンクと紫、表面に浮かぶ斑点模様という外見は毒々しい印象があるが、

実際にこの花は毒を持っている。そして、その毒には昔から呪術的な効果があると信じられており、

人の心を沈静化させる薬としてセラピーの界隈で用いられていた。

(今では、正式に化学薬品として医療現場で使われている)

しかし強い効果を発揮する分、幻覚症状、精神神経症状を引き起こすという。

目を引く美しい外見と、副作用を秘めている花の様に、

繊細かつ不安定な旋律やリズムは、危うい二面性を保ちながら私たちを魅惑する。

 

「私にとって肌(もしくは外皮を総じて)とは、一見不思議で奇妙だが、同時にパーソナルで親しい存在だ。」

Flumeは「Skin」リリース後のインタビューにて、今作「Skin」について言及している。

 

 

私たちの顔は一つではない。

多面性を持って日常を生き抜いている。

そして、不安定な自分も、虚弱で陰湿な自分も、

どの自分もただ一人の自分である。

美しさと同じぐらい、汚らしさも、いびつさも、いやらしさも全て受け入れよう。

その境目の真ん中で、今日も揺れ動くのだ。Flumeを聴きながら。

 

 Free

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次回はもっとゆるいものを書いていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

 

by マテ