Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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(まあまあネタバレ)L3-37という女の人 (SWスピンオフ ハン・ソロについて)

ハンソロ見ました?お世話になります、ご無沙汰してますべしちゃんです。

今回表題にあります通りネタバレ含みますご注意を!


みなさんにとってのスターウォーズは一体なんでしょうか。人生?祭り?ギャル神輿?


私にとっては日本史世界史銀河史といった具合に映画の枠を超え、履修すべき歴史という具合…かしら…なんちゃって…
またはスターウォーズという世界観で、どこか遠い遠い銀河で、築かれているであろう我々の知らない秩序や物理や常識のはたらく世界に浸りこむ、まあ人力VRみたいな感じでしょうか。

 

 

問題のハンソロなんですが、この錚々たる銀河史の中においては、前スピンオフ作ローグワンと違い、あってもなくても歴史には差し支えのないストーリーではあります。


ちなみに前スピンオフ作ローグワンにおいていちばん衝撃を受けたのは、スカイウォーカー家の英雄譚に雲隠れこそしているものの、あの世界は戦時中であり幾人もの名も知れぬ英雄や英雄でないものの犠牲の上、あの世界とあの戦争は回っているという点でした。

それが我々の知らない銀河のお話「スターウォーズ」と我々の生きる天の川銀河ひいては太陽系の地球という小さな星の現代という時間に生きる我々にリンクし、良くも悪くも違う側面からあの遥か遠い銀河を見るきっかけとなったことでしょう。違いましたらすみません。


そういう点では今作もフォースだなんだには縁のない1人の青年のお話ですし、そのなんてことない彼があのハンソロになるに至るを掘り下げて見えてくるものは前作同様めちゃくちゃシビれました。
しかしあくまで掘り下げる対象はスターウォーズ、あの戦争とあの世界についてであってほしい。

 

ではハンソロ、何にいちばん違和感を覚えたかってL3-37というキャラクターです。
彼女は今だからこそ生まれるキャラクターだなと思いました。多分観られた方は同じ感想を抱かれたかと思うんですが、オリジナルトリロジーにおいてレイア姫が「強く革新的な女性」として描かれたのとはワケの違う2018年の強い女です。

すごく現代的なニュアンスで、今を生きる女性たちの内包するパワーをドロイドという外面に乗せて打ち出した非常に魅力的なキャラクターであると思います。めちゃくちゃ言い方が悪いですが最近の洋画にはこういう枠が要るんですと言わんばかりの。
無論いいことです、私も女性ですから女性の意義主張生き方etcに力が伴い映画という媒体でそれを声を大にして訴えれる世の中は非常にいいことだと思うんです、が、これスターウォーズと銘打ってるもんでやることなんか?って思います。


そもそも時系列がオリジナルトリロジー以前じゃないですか。この時系列が故にせっかく「現代においては」非常に意義のある女性キャラクターが出てきたのにも関わらず、なぜ今作で出した?とそこが非常に疑問です。

4から現行ナンバリング8までそんな流れを汲んだキャラクターやお話は一切出てこねえし全てが2018年という今にただただ御誂え向きと見えるのもしゃーない状況じゃないですかこんなん。
あくまで誰か1人の意思主張が前に出る物語ではなく銀河の歴史であってその膨大な歴史の流れの前にはスカイウォーカー家の物語ですらただの一本の枝に過ぎない、そんなスタンスでやってきたスターウォーズの中でそれやるんか〜マジか〜…というのが正直な感想ではあります。そしてこれは頭の固い旧世代的な感想なのもわかっています。
でも、その多様性を持つこういうキャラクターがスターウォーズに存在するのはいいことだし、作品内で無駄死にしたわけでもなく時系列トータルでスターウォーズを捉えたときにキャラクターの枠を超えてこういうキャラクターが存在すること自体が「無駄死」に値する結果になっているのが勿体ない。やるなら詰めろよ。それならスターウォーズでやらんでよかったやん、と。

どうしてもスターウォーズの世界でそういうの盛り込む必要があるならせめて9でやるとかあったじゃないですか。この先の歴史はまだ空白なんだから。


むろん彼女の存在自体がローグワンにおける「戦争」同様、我々の生きる世界とスターウォーズ世界の紐付けが為されるポイントというのは頷けますし、映画ひいては創作物というものは何かしら消費者側との紐付けがナチュラルなかたちで存在せねばどうにも成立しないものというのは分かっています。
が、やはりこれまでスターウォーズが培ってきたもの、具体的に言えば時系列、にあまりに辻褄の合わないかたちで突如投げ込まれた2018年製感バリバリの魅力的なキャラクター。

なんだか煮え切らない思いでいっぱいです。まあ全部制作サイドが仕組んだ皮肉だってんならもう何も言葉はないですけど…

 

映画はめちゃくちゃ良かったです…チューイは最高…