Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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The 1975 の『A Brief Inquiry into Online Relationships』を徹底調査

今からThe 1975 の「A Brief Inquiry into Online Relationships(ネット上の人間関係についての簡単な調査)」を再生する。一曲ごとに、聴きながら感想を書いていく。初めて聴いた瞬間の感想は二度目聴いた時にもあるとは限らないし、初めて聴いた時の感想はなんとなく素敵だからである。

で、しっかり全部を書き終えたり書き加えたりしながら、四周聴いていたら朝でございます。何度聴いても、1日ではザッとしか感想は書けないものですね。

 

このアルバムには前もって予想記事も出してたので、どのくらい当たったかなと気になる人は読んでみてね。

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

 

 

The 1975

目を見開くよう。新しい部屋に引きずり込まれる気持ち。激情と静寂のギャップを強く魅せる、Bon Iver の22, A Million のあれのオマージュだ。そう、ILIWYS以降で一番衝撃だったアルバムの一つだ。わかる。

常にこの曲が、世界を作る。頭の中の準備はすぐに整う。

(ピッチフォークでのインタビューによれば、これがアルバムの最後の最後に完成したパートだそう。どうやら元々はスティーブライヒ譲りのイントロを作っていたが、いくらやっても完成せず、結局しゃあないからピアノで、なんか良い感じになるかもね、とできたものだそう。仕上がって見たらバリええ感じだとご満悦の様子。)

Give Youself A Try

珍しく今回はアルバム全編の長さが一時間を超えていない、曲数が多いは相変わらずだけれど。確かこの曲を先行シングルとして公開する際のラジオで、「二枚組?論外、論外(笑)。俺プログレ嫌いなんだよね(テヘヘ)」とのたまっていたマッティを思い出すね。彼でも、ジェネシスは好きって言ってた覚えあるよ。

何度聴いてもこの曲は素敵。素晴らしい、Joy Division へのオマージュでもある。しかし、それを抜きにすれば2000年代の音楽への花束、粋だ。

ディスオーダーがオープナーだったことを踏まえて、この曲疾走感のある曲が実質一曲目なのは、アツい。燃える。エモい。

TOOTIMETOOTIMETOOTIME

ポップで、原付二人乗りで旅に出たくなる曲で(原付信者の僕の性癖、免許は持ってないから僕は後ろ)、元気もたくさん出てくる。今日も風邪を引いて寝込んでいたけど頑張って聴けるし少なくとも今はしんどくない。

最近、今となってはアダム・ハーンのギターはこのバンドの音楽から聞こえるものの中で唯一ダサいものになってしまったなと思う。そもそもマッティがダサいロックスターの象徴のようであったのに、もはやダサさ、ナヨっちい感じは、少なくとも世間的な印象には薄い。でも、マッティもカッコいいけど、このバンドで一番カッコいいのは、ジョージだなって思う。マッティと一緒に唯一曲を書いているのはドラマーの彼、黙ってるけど、顔もかっこいいしタッパもあるし、推せるよ。ピコピコ電子音作ってるのは基本的に彼よ。

How To Draw / Petrichor

既出のアンビエントトラックで、元々はもっとピアノピアノしていた。

www.youtube.com

今作のテーマにもなっているであろう、当たった音、とでも言うべきだろうか、でリズムを構成したことで、新鮮。ラッパもグー、味をしめたな、僕もこれはずっとやってくれと思う。このトラック、ミニマルなアプローチが前作より鋭くなっていることがわかる。良い。元バージョンまだダウンロードできるかな、以下のリンクから、押してみて。

 

ここからがPetrichorで、早くなる。ペトリコールとはどういう意味か、雨の後の地面の匂いのことだ。こういう単語を、曲の題に使うバンドなのだ。間違いのあるはずがなかろう。

RadioheadがKid Aでエレクトロニカを取り入れたのはエイフェックスツインなどの影響だった。The 1975の場合こういうのは大概ジョージダニエルの上手の横好きで、こう言うのが堂々とアルバムでできるようになり、またそれが評価されるバンドになったのが素敵だ。ちな、前作の表題曲もエレクトロニカだったのに、特に誰も騒いでおらなかったから新鮮なり。

もう、売れない心配と、売れようとしすぎる葛藤は捨てられただろう。僕は間違いなく、この曲が一番好きだ。

Love It If It Made It

これは、新しいチョコレートである。

シングルの中でも、今年リリースのアルバムの中でも異彩を放つほど素晴らしかった曲がこれである。例えばイントロがGive Your Self A Try 公開までのカウントダウンに使われていた時に、ここまでロックな曲を想像していただろうか。How To Draw のようなアンビエントからアンビエントに行き次のキラーチューンへ繋ぐような曲を想像していた。

しかし、公開された瞬間にこれがこの曲だったかと、吹っ飛ばされたわけ。韻が決まった漢詩のようなリリック、強い雄叫びのような歌、よろしすぎる。

カウントダウンの映像のBGMであのクリック音を使うところから、この曲を素晴らしく思うための頭の準備が始まっていたのかもしれない。

歌詞も素晴らしい。日本語による解説も他のブログ様より出ているので是非読まれたら良い。

the 1975の『Love It If We Made It』の和訳と解釈 - キミガネ。

Be My Mistake

全編を通して存在している一番下の音の層がいかに素晴らしいか。しかしこの曲の歌詞には意味深な感じがある。別に僕はふざける人ではないので、これは「あとで賢者モードになるのを想定しておりながら知らん女の子と寝ようとしてる曲」だなどとは言わない。

Sincery Is Scary

リズムパートを除けば、典型的なThe 1975、セルフオマージュのようなものだ。しかし、そういういつも通りの焼き直しを今回だって休めはしない。The 1975 は常に最新作に最高のThe 1975 が全て入るようアルバムを作っているのだろう。ソウルフルで素敵だ、ミュージカルなビデオも素敵だ。

新しく取り入れた要素でできたABIIORバーションのThe 1975 + 副産物にすら見える進化したThe 1975、前作に引き続きそれがThe 1975の新作とはである。

常に何か気に入ったものを持ってきて、これやってみますねって形でThe 1975のスタイルができているだけあって、やはり真新しいものがない!と怒鳴られることが多いこのバンド。しかし、オマージュの選び方と、絶妙な混ぜ具合はまず完璧である。

そして、最も素敵なのはそう言うパクリ、元ネタなんて言われちゃう対外的な変化によって、引き算のように本体に残っていっているもの、それがまた素晴らしく綺麗な光に輝く、これぞと言わんばかりにね。それが良いやっぱり。IDMやらヒップホップやらR&Bに影響を受けても、残るのはマンチェスターの売れない冴えない童貞臭い見た目なバンドマンだった頃の四人。大団円なサウンドでも、ふわっと厭味なく好ける。

I Like America & America Likes Me

SoundCloud rap へのオマージュだそうだが、僕はそれが何なのか知らない。

しかし、とにかく

Being young in in the city
Believe, and say something
And say something
And say something

という節の素晴らしく、現代的叫びよ。

The Man Who Married A Robot / Love Theme

A Brief Inquiry into Online Relationshipsは、前向きな顔をしたOKコンピュータであり、とぼけたふりをしたKid A ではないのだろうか。

この曲はアルバムのリリースを発表する前にカムバックの仄めかしに投稿されたHello というの動画の音だ。フィッターハッピアーであり、モーションピクチャーサウンドトラックだ。かつてフィッターハッピアーでマッキントッシュによって語られた言葉は、冷たく不安に満ちたものだった。

90年代に早めに挨拶をしにきた未来であり、一種の恐れの象徴でもあったコンピューター、それは今はっきりと現代なのである。

この曲におけるSiriの喋りには、人の温かみもある。優しさであり、共感でもある。誰しもが抱くカジュアルな孤独が語られている。恐ろしく、寂しく、どこにも行けないような苦しい、しかし、それは何と美しい孤独だろうか。思わず泣いてしまい、抱きしめたくなるような美しさのある曲だ。この曲が一番好きかもしれない。

Inside Your Mind

君の歩き方を見つめ、

君の話し方を真似しようともした、

君の頭、僕の目の前にあるその頭を今かち割って何考えているか見てみるよ、

寝るのを待って、君が夢見みるものを覗く権利が僕にはある、

君は僕と愛し合っている夢をみているに違いない、

見てみるしかない。

大人ぶった顔で「馬鹿言えよ」って胸張って言えれば良いのだけれど、正直そういう気持ちになって眠れないことはよくある。モラトリアム特有の患いだと思い込んでいたけれど、もっと普遍的な悩みだったのね。

It's Not Living (If It's Not With You)

スーパーマーケットのBGMでしか聴かないようなThe 1975の80年代オマージュ、久しぶりでも無いはずが懐かしい。踊るラリっちょ、ヘロインベイベー、。

ライブのセットリストは基本的に客に寄せまくるのがアダとなり、これまでのツアーでは演目のほとんどがこういうアップビートな代物だったから、正直飽き飽きしていたけれど、流石に今更そんなことはしないだろうし、今後は恋しくなるのかなぁ。

Surrouded By Head And Bodies

めっちゃええやんけこれ。やっぱ一番好きなのこれ。

タイトルはInfinite Jestという小説の最初の言葉で、マッティはおクスリのリハビリの間、この本を読んでいたそう。個人的にこの曲は、レディオヘッドのFog、Melatonin、Worrywortなどなどなどなど、僕の一番好きな雰囲気のB面曲と似たような楽しめ方ができるもので、本当に素敵だ。

Infinite Jest - Wikipedia

Mine

この世界には、たくさんの人が生きていることが、わかる。

秋冬は人の匂いが街を覆っているのが不思議ですよね。最高な一曲です。

ジャズは温かい、これからの季節にも重宝する。しっかり終盤に向けて、沁みぃ曲を持ってくるの、鬱陶しいですよね。もう、寂しいですね。2年待ったドキドキが最大限に楽しめる時間はあと数分ですか。

I Couldn't Be More In Love

プリンスやんけぇ(;;)

そういや前のツアーの時プリンスのコスプレしよったもんな。えもももももお

一番好きな曲と言うのがはっきり言えた方が、自己紹介の時なんかは役に立つんだろうけど、むずいよねー

I Always Wanna Die (Sometime) 

そう、ね。題名ね、わかるわ。いーっつも死にたいって時々思う。一緒。

死は君には起こらない、君の周りの人たちに起こるなんて、誰だって知ってるよね。

情けなくて度胸もない、そんな俺たちは死にたいっていつも思うけど、実際に死ねたことはないよな。それで、人前では爽快なふりしてね。

レディオヘッドの真似っこなんかもしたりもするよねえ。

大変だよなぁ、でも、ヤク中でメンヘラのマッティが死ねずにヘラヘラやってんのみてたら、元気でるなぁ。

 

 

 



はぁ、急に寂しくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

あとがき(本編には関係がない話)

ネットの交友関係に関しての話だ。

好きなバンドが大きなバンドである場合、イラっとすることは少なからずある。情報が多いということは災いで、例えば、ちょっとした理由で僕はまだアルバムが聴けないのに、一曲毎に批評しながら聴かれては困る、が今回の例である。大いなるネタバレである。

こういうのも、対象のバンドが大して有名でないバンドであれば、まあ、チラッと目に入っても我慢するということもできるのだが、The 1975 の場合は起きている人間の全員がそうなるのである。発言の自由があるのであれば、耳をふさぐ自由もある、そう強気になりミュートしようと思っても、あれだけ量がいてはね、まじ困った、とほほ。

しかし、悪いのは彼らではない、僕だ。

これは共感の渦にハマれなかったひとりの時差男(タイムラグベイベー)によるただの僻みだ。

ちょっと暇だからツイッターでも見ようかな、と思う僕が悪いのである。すっぱり、ログアウトした、一時的に。

 

そういえば最近、僕がツイッターで音楽の話をしないのには訳がある。実は、受動的に好きなものを探す文化に納得が行っていない。誰かが紹介してくれる音楽を、話題になっている音楽を、シュポンシュポンとリロードしながら待っているのは、何となく間抜けで、みっともないし、礼儀正しくないような気さえしてきたから、そういうことはしないようにしようかなとある日思った。

また、これはもう本当に関係ないがストリーミングで音楽が公開された時に「何々が来てる」と言うあれにも抵抗がある。この間誰かがそれについて笑っていて、ひどく共感したのを覚えている。あくまでも、行く、べきだという信念が、僕にはあってとてもめんどくさい。

好きなものは自らかき分けて探して行くべきで、まあ、新しい音楽を聴くことを冒険に例えられる心の余裕がある人には「達成感」だって味わえるのだから。たまにならそうやって、偶然みかけて気にいるというのも素敵だが、そこがメインになってしまうのは、寂しい、と思ってしまう自分はだるいなぁ。

レコード屋で漁る、

TSUTAYAを行ったり来たり、

ラジオで掴まれて、

古本屋で大昔の音楽雑誌を手に取ったり、

ブラウザでジャンルやバンドを検索しガラクタの山を片っ端に漁り、気の合うレビューを見つけてきたり、

ストリーミングで関連バンドを漁ったり、ミックスを聴き込むのもあり、

などなど、

まさかインターネットが割と懐古的でもある話の中にひょこっと出て来たのは驚きではあるが、このように手足をいっぱいいっぱいに使って、色んな冒険をしながら宝物を探して行くのがロマンチックではないか。

そりゃ、時々お友達に勧められて聴いて良いのを見つけるというのは好きだ。だが、ツイッターのあれには、一部を除いてロマンというものが皆無なのは確かで、まあ好き好きなのだけれど。

そもそも、最近人が聴いているものになかなかハマれず頭を抱えている、この状況を作った自分に問題がある。情けないことだ。

で、だからわざわざブログで書くのである。いい音楽は待ってても歩いてこない、そういうものであってほしいと思うから。そもそも、140字で好きなものを語るというアイデアに浅はかさを感じると、思いつつも、でも正直僕の感想だってそんなようなものか。

ただ、ちょっとした感想から共感で手を繋ぐのは素晴らしいことだが、常に評を広げているような人を見かけると、アホっぽく見える。僕がネットに求めていたことは、分類ではない、違う他人たちと手を繋ぐことなのだろう。

ロックかどうか、それがそもそもロックではない、と言う論争に似てくだらない。

そもそも、人はそれぞれ異なる考え方を持っていることを前提に生きることが出来ないというのが昨今のゴミ社会のルールだ。

また、とにかく暇な僕に対して、忙しい人々がいるのも確かで、その人たちがロマンより便利性を求めるのは仕方のないことでもあるだろう。ごにゃごにゃ文句言ってないでね、音楽を聴こうって気になった。

しかし、こういう考えの僕からすれば、最近このApollo 96 を訪れる方の傾向は非常に嬉しくある。ツイッターからの流入がパッとしなくて、ブラウザから検索して入って来てくれる方が増えていることは、嬉しい。読んでくれてありがとうございます。僕の記事はこれからも、こんなへっぽこなのでしょうか、次見かけた時にはもう少し上手になっておれば良いのですが。

もちろん、ツイッターでリンクを踏むというひと手間を毎度かけてくださっている方にも感謝しております。こちらの方に関しては直接誰が読んでくれているかも覚えてしまう程で、誰も読んでくれてないような頃から支えてくれてきた人らですし、本当ね、ありがとう。

色々まとまらないけれど、この人はこんなことを考えるけれど、うまく人には説明しきれないのだなぁと思っておいてください。こう自分の中にある考えを書き出してみて、どう言う形をしているか改めてみてみること、また誰かが考えることに差であったり共感する部分を見つけてみることは楽しい。考え方の違いを認めてみるのは平和だなぁ、と思う。たくさんの人が生きているのがわかるのが素敵だと、このアルバムは壮観だ。

 

 

by merah