Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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King Crimson来日レポ12/09/2018@グランキューブ大阪【ロイヤルパッケージ編】

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

 

※雑な記憶と貧相な英語リスニング能力と個人的解釈のフィルターがかかっています

 

10分前に着くと既に40人ほどの列。サイン入りの限定セットが各日45個販売とのお達しだったので若干冷やっとしながらも、メールの印刷(最悪なくても画面提示で済む)とチケットと写真付きの身分証明書を見せて入場。

と入って早々、その限定セットが19個用意された時点でバンドがリハに入ってサインの書き込みが一時中断されたというアナウンスが伝えられる。大丈夫かなと不安になりつつリストバンドに後の購入の際の整理番号を書き込んでもらう(これも整列順だった)。

そんなギリギリに用意しなくてもいいんじゃないのかと思いもしたが、ライブ直前ベテランの8人組を1室に詰め込んでサインを書かせるという所業はやはり簡単ではないのだろうとスタッフたちの苦労に想いを馳せ、リハが終わるまでの入場待ち。割と後ろに並んでしまったため、音漏れは一切聞こえない位置に。

入場し、最前部分の座席に誘導されて一同が着席するとFrippの入場。悠然と歩く様はまさしく「紳士」な立ち振舞い(後方のスタッフにも着席を促していた)であり、ロックスター特有の過剰な愛嬌の振りまきは一切なし。拍手が終わってしばらくしても喋り出さず、場の空気に負けた一部が笑ってもニコリともせず、ヒトラーの演説手法そのままの出だしから来場したことの感謝と我々バンドとクルー一同ははるばる遠くから来たということを話し出す。文の途中でも意味が一区切りしたら一旦黙って通訳に訳させ、ゆっくり穏やかに喋る様は我々の知るフリップ像そのもの(そう言えば内容が抽象的な分、喋るのめちゃくちゃ遅いんだよね)

そんな我々の苦労や努力とは裏腹にという嫌味でも言いたかったのか、東京初日公演では15列目の客がこっそり持ち込んだ酒を取り出して酒盛りを始め、隣の客はさぞ不快な思いをしただろうと俺は見ているぞアピールを突如発揮。客もバンドと同様に真摯たる態度でライブに挑むべきであるということを示唆したかったのだろうか、確かに穏やかな口調で言われると一周回って恫喝に聞こえました。先生。

そこから、「ライブの演奏は確かにその時に鳴るものだが、その音楽自体は時間に縛られない永遠なものなのだ」という話をし、「ライブでは時たま素晴らしいことが起きる」と音楽がもたらす効力についての持論を展開。「音楽は世界を変えるか?」という永遠の議題に対して、「確かに変える」と断言。というのも、(政体がひっくり返るだとかそういう外的世界での変革ではなく)「頭が吹き飛ぶ」感覚を覚えるような内的世界での変革ならいくらでも起こしてきたからだ。本当に頭が吹き飛ぶことはないが、本人にとってはその音楽経験で世界は変わっているのだ。

その一方で最近はそういった世界を変える音楽がなくなっていると音楽界の現状を嘆き、だけれども「我々は世界を変えます」と自分たちにはその能力があるという宣言をし、「バンドとオーディエンスが一丸となれば素晴らしいことが起きるだろう」と彼の演説は締めくくられた。

ところで機械類の操作禁止の厳命が出されていながらも途中で携帯のアラームが鳴るというハプニングが発生した時、彼は怒るでもなく話を中断してただ発生源を見つめ続けるという1番恐ろしい対応を取っていた。その後、そのことには一切触れずに話を続けるところも含めてやはり「紳士」であった。

最後に「写真撮りたいでしょう?私も撮るからあなたたちも撮りなさい」とカメラを取り出し、お互いに撮影会。今日の客は先日より素晴らしいだとかおべっかを振りまきつつも「写真チェックしないと本当か分からないが」と一瞬出した飴をすぐに引っ込めるあたり、徹頭徹尾「あのFripp」であった。

 


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そんなややピリッとした空気を和らげるようにマネージャーのDavid Singletonが登場。早速最前列の客の持っていた限定セットをいきなり取り上げ、宣伝を開始(笑)。

その後、何でも質問してくださいと大らかな姿勢を見せる彼、Frippと態度が全く真逆である。「その前に」と先回りして2つの聞かれがちの質問を回答。「スタジオアルバムは作らないのか?ー作る予定はない。ただし作らない予定もない」「日本はまた来るのか?ー分からないが3年周期で来てるから来るなら2021年かな」

それから本格的に質疑応答がスタート(覚えきれてないので取りこぼしがあったら是非教えて欲しいです)。

Q「Keith Tippettが病気で治療費のチャリティーとかやってましたが今どんな感じですか」

A「最近連絡がなくて分からないんだ。ごめんね(調べたところ、どうやら回復していてライブやるみたいです)」

Q「John WettonとMel CollinsとGavin HarrisonとJakko JakszykとでCrimson DNAというバンドを組む話があったが、レコーディングなど音源は残っていないのか?」

A「ない。オフィスでミーティングをして宮殿やRedの曲をやるという話をしたが、当時ライブからの引退を表明していたFrippが途中から興味を示して現行のKing Crimsonに繋がってしまったので、そのメンツで実際に演奏するということはなかった」

Q「中国でライブをしないのか?」

A「今度アジアツアーをするなら候補として考えている」

Q「どうやってセットリストを決めているのか」

A「自分にはちょっと分からないな...友達に聞いてみるとしよう」

 

と、ここで気づかれないうちにこっそりと客席に座っていたBill Rieflinが登場。

A「色んな方法があるんだ。Frippが決めたり、他のメンバーの提案があったり。と言っても彼は民主制を装いながらも聞く耳持たない時もあるんだけど(笑)」

そこから追加して

「で、我々がそういうことだとか機材だとか云々かんぬんをやっているのは、最高の音楽にするため。人生と同じで素晴らしい場所にたどり着くための道というのは、率直(straightforward)なものなんだ(馬の蹄のものまねをして道を邁進する表現を行う)。普段答えないことを答えてみたよ(セットリストの質問は別日に既に出ていたことを踏まえてか)」

Q「70年代のレパートリーが増えていくことはありますか」

A「僕がバイオリンを覚え直したらね(笑)19歳の時にはやってたけど19歳の時に売り払っちゃった。チェロ奏者(=Tony Levin)なら今もバンドにいるけど」

Q「ドラムからキーボードに切り替えるのに苦労しませんでしたか?(あなたがハンサムでクールなのは同じですがという前置きにBill「ダー」とニヤッと反応)」

A「(ここら辺正直自分の理解が怪しい、というか綺麗な答えになってない)2つ答え方があるね。1つ目だが、そうでもない。ドラムはよりフィジカル(ドラムを叩くジェスチャー)だが、キーボードはそれほどでもない。まあミスは多いんだけど。2つ目だが、それぞれやり方が異なる(態度や方法が異なるということか?)からあんまり関係ない」

「ところで、鍵盤を弾いてる時の僕の顔が怖いとよく言われるんだけど、あれは僕がリラックスしてる時の顔なんだ。諺に「仏頂面ほど心穏やか」(何と言ってのか分からなかった...)とあるけど、まさにそんな感じだね」

Q「今まで様々なバンドを渡り歩いてきた中でクリムゾンってどうですか」

A「まずクリムゾンでの自分の役割は「正しい時に正しい行動をする」というものだ。クリムゾンというバンドは個人の欲望よりも全体の音楽を優先する。と言ってもFrippはよくWhat to doを指図するけど、実際には本人たちの自由の余地は多いよ。自分は「正しい時に正しい行動をする」というやり方が性に合っているけど」

Q「3人のドラマーでどのようにフレーズを振り分けてるのですか」

A「(ここら辺殆ど覚えてない)3人だけで合わせたり色々とやって決めてる」

ここで時間が来たので最後に記念撮影をして解散。Bill Rieflinはクールなイケメンキャラで、発言は謙虚ながらもハンサムだと言われても嫌味っぽくなく素直に受け止める辺り、他のクリムゾンファミリーとはだいぶ毛色が違いました。

 

そして、限定グッズは無事に買えました!!

 


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ライブレポに関してはまた後日...