2018年、過小評価されていた、見逃されていた名盤ベスト16
絶対に聴いてもらいたい音楽を厳選して選びました。
去年も同じような記事を作ったが、その反響が予想以上だったのもあり、今年はそれなりに気合いを入れて書いた。(長い)
まず初めに、紹介する順に曲が並んでいるプレイリストのリンクを貼っておきます。
これを再生しながら、スキップしたりして良い感じに聴きながら読んでもらえると幸いです。
最高だった16枚、読者の要望に沿いランク付けした。レビュー付きです。年を越して落ち着いて皆のまとめたものを確認して行くうちに、このランキングがそのまま2018年の過小評価されたアルバムのランキングにもなっていることに気付いた。そのため、タイトルも変更させてもらった。
ベスト16以下は、もう一つの記事にジャンルごとに分けて短いコメント付きでまとめているのでもっと気になる人はじっくり読んでもらえたらと思う。40枚のまとめ画像は気にせずたくさん良かったものを並べてみた、読みづらくなかったら良いですけど。
それでは16位から初めて行きます
よいしょ、
16〜9位
今年は新譜を意識して聞こうとしていなかったが結局聴いたもの全てを数えてみるとそれなりの数になった、その中でのベスト十六である。結果的に去年より多くの良い作品に出会えていて、この16枚はマジで全部死ぬほどよかったです。。
16位 LOVE / ADOY
このバンドは2018年だなぁって感じがすごくある。韓国のインディーロックだ。カッコいいし、可愛いし、力の抜け具合も完璧、その上オシャレと来ている。最近の日本のインディロックの傾向に近いものもあるので、流行りそうだ。そのうち来日もあるかもしれない。良いインディーロックだ。流行らなかったらごめんなさい、でも流行ると思います。これはだって良いんですから。
15位 Song For Alpha / Daniel Avery
エレクトロニカ、テクノ、アンビエント、その辺りにまたがってDjによりプレイされる音楽は夜にフェスやクラブで聴くだけものでもないのかなと、このダニエルエイブリーのセカンドアルバムを聴いて思った。
というのも、今まで聴いていたものはアルバムというストーリー前提でライブを楽しむもの、あるいは逆に生で聴いて踊る楽しみはどうしても再現できないがイメージで補完しながら録音を楽しむもの、そのどちらかだった。要するにアルバムがアルバムとして成立しているものか、どうしようもなくライブありきの録音か。
で、本作品『Song For Alpha』はどちらなのかというと、明らかに前者ではない。
しかし後者でもない、実際にセットを見たことがあるわけではないが確かに後者のものでもない。
何かというと録音されているものなに、すぐそこで今プレイされている音楽を聴いているような作品だ。生き物のようにテクノが、アンビエントに絡まりあって、手に取れる距離で鼓動蠕動しているような、ライブ感のあるアルバムとは待ったく違うが生きているアルバム。音の中に歩いて行っている感じで。もう上手く言えないけど良い。
DJセットならどのような感覚がするのだろうか、永遠に聴いていたいことはまず間違いないだろうし、より催眠的なにかが期待される。彼のロングセットの評判を聴く限り、絶対ヤバイ。
14位 >>> / Beak>
ネジが全部外れているので聴いていてふらつく。このアイロニックなサイケポップはポーティスヘッドのJeff Barrowが率いるBeak>のアルバムだ。
ファーストアルバム『Beak>』は完全なクラウトロックだった。前作『>>(Beak2)』は何かと聞かれれば電子音楽だと説明できた。前作でBeak>を好きになった自分は、今回『>>>』の路線に度肝を抜かれることになった。今までやっていたよく分からないアングラな何かぐにゃぐにゃした奴を、まずインディロックの体裁を取った上で表現してきたのだ。かつてのようなテクノ的な要素が前面に出ている曲も確かに存在しているが、それもあるせいでどこにBeak>の本体があるのかが完全に分からなくなってしまった。
どうなっているんだ?としか言えないが、いいアルバムだ。いいアルバムだが、いつ聴けばいいかは分からない。ポップ風でインディロック風だが、それは形だけで、聴き心地は全くそれではないからだ。本当に気持ちが悪い前衛音頭。気持ち悪いが傑作だ。
ちなみに上にリンクを貼っている曲は、ちゃんとそれなりに聴きやすい。こういうちゃんとマトモにいい曲にだけMVを作るのってズルいと思う。エロDVDのパッケージ詐欺と一緒。
13位 Singularity / Jon Hopkins
これはコンセプトアルバム、2018年宇宙の旅かもしれない。
シンギュラリティとは特異性を意味する言葉だ。
エメラルドスプラッシュはジョジョの奇妙な冒険 第3部に登場する花京院典明のスタンド、ハイエロファントグリーンの必殺技だ。
とにかく、曲名をみるだけでも脳内に物語が広がるだろう。無機質な世界に広がる鼓動がやがて繋がり、宇宙に最初の生命が生まれ、やがて光る生命体が登場する。この物語は聴いてみるともっとハッキリと、とても美しく繋がる。映画の様である。
ブライアンイーノやコールドプレイの様な、現代の音楽シーンにおいて特別コンセプチュアルな人間たちと関わり続けている彼だからこそ作ることのできた作品なのかもしれない。ここまで具体的なイメージの湧くエレクトロニカはなかなかない。
このアルバムに関しては別に過小評価されていた訳ではない。
12位 Felt / Suuns
インディロックにしては尖りすぎたカナダはモントリオール出身のバンド、Suuns。アートパンク、クラウトロック、ネオサイケデリア、彼らを形容するジャンルは余りにも幅広い。そしてそのアイデンディティがこれまで方々に散らかっていたのも確かだ。
今作でしっかりと、分かりやすいSuunsの姿が明示されたと言えるだろう。シンセサイザーの音がバンドのドロドロとした脆い世界をまとめ上げている。一番マシな入門編にして、文句なしの最高傑作だ。
個人的にはポストレディオヘッドと言ってレディオヘッドファンが嫌な顔をしない唯一のバンドであり得るかもしれないと、強く感じている。そして、この壮大さを目の当たりにしたのは今作が初めてだった。気づいた日にはついハッとしてしまって。
何を隠そう僕は圧倒的に最も好きなバンドはレディオヘッドである。
ちなみにだが、レディオヘッド信徒であると同時に、僕はかなりイタめのThe 1975のファンボーイでもある。こんな自分でもレディオヘッド信教の自我が勝ってしまい今年のThe 1975 の新譜の感想を読んだら「レディオヘッドの真似をやってんのは分かるし共感するけど、現代のレディオヘッドだとか、21世紀のOKコンピュータと称されるにはさすがに遠く及ばないんじゃないかな。あるいは21世紀のOKコンピュータがあったとしても、それが20世紀のOKコンピュータに比較されうるものになるはずはないよね。好きだけど」と思ってしまう。(この記事ににThe 1975の新譜が入っていないのはこれとは関係なく、一か月弱ではアルバムが自分にとって実際どの程度を意味するのかを測り切ることができないからである。その為にわざわざ一つ単独で記事を書いた)
まあ、とにかくそれだけレディオヘッド云々の話には斜に構えて向かってしまう自分でもこのバンドにはそれを感じずにいられないのです。「Suuns本人たちにとってレディオヘッドは眼中にないだろう、自分たちの世界がもっと壮大に彼らの前に広がっているのだから、レディオヘッドを引き合いに出して語ろうとする自分がすごく安っぽく思えてしまうな」なんて思ってしまうその感覚が新鮮に思えるし、だからこそ僕は比べてしまったのだろう。あと間違えないでほしいのだが、あくまでポストレディオヘッド、必ずしもレディオヘッドに似たものがあるという意味ではない。
また今年はアルバムリリースのみならず、中国、東南アジアを中心に回ったアジアツアー(初めてではない)での盛況が驚きだった。彼らがインディロックバンドとして確固たる地位を築きつつあることがはっきりと感じられる。このバンドもこれからますます大きくなっていのかもしれない。
今年、実は初の来日も果たしたのだが、公演数、動員、共にイマイチな寂しい状況だった様(金欠で見逃した僕自身も偉そうには言えない、かなり後悔を感じている。もしタイにいる時期にツアーがあったら値段的にも絶対行っていた、誓っていい)。
こんな動員の感じも最近のインディロックバンドの傾向にしっかり則っていて少しヒヤッとした。このままでは、雑誌で話題になるバンドと金持ちのバンドだけが来日し、必ずしも流行のど真ん中ではないバンドは完全に日本以外のアジアでだけライブをするようになってしまうんじゃないだろうか。半現実化しているだけに怖すぎる。
11位 I Am Not __ __ / Xinlisupreme
当初このアルバムを取り上げるのは控えようと思っていた。アルバムタイトルを見ればわかるよう、Godspeed You! Black Empelor 並み(以上)に思想強めの人が作ったアルバムだからである。不自然な事に、ピッチフォークのベストシューゲイズアルバム50選にも名を連ねているような人の作品なのにメディアでの紹介はほぼ皆無だった。そうなると、こちらも多少は怖気付く。ただボイコットされているのではなく、悪の組織に情報操作されているのではないのかと怖気づいた。
悩んだが、どうしても、これだけ素晴らしいアルバムを紹介しないわけにはいかない。胸を張って素晴らしいと言わなければ。
このアルバムに含まれる政治的な考えに関しては、ここが共同ブログでもあることもあって、責任も取れないしノーコメントとさせてもらいたい。ただ、音楽に政治的なメッセージが込められる事を僕は全く悪いことと思わない。
この作品がどうかという話ではなく、仮に政治思想の強い作品があって、その作品に込められた思いが自分のものと合わないかったとしても、自分は少なくとも好きであることをやめたりはしない、出来ればそこだけを無視して触れるかもしれないし、対抗心を燃やすかもしれないし、また自らの意思が揺るがされるということになるかもしれない。逆にもし、そのメッセージに共感できれば、より強く気にいるだろうと思う。どちらにせよ、悪い影響は今のところ僕にはない。
音楽の話をしよう。これはシューゲイザーとも言えるが、まあノイズの満ちたポップスだ。
表題曲の『Seaside Voice Guitar』 は間違いなく歴史に残るような曲で、シューゲイズの一つの到達点であるかもしれない。また、『I am not 誰か』、『Act 2』などを聴けばXinlisupremeの描く感情が、世に群れている無差別的な悪意とはかけ離れた、切望であることもわかる。
また、悶えるような強い怒りの叫びだけでな、過ぎ去った時間、青春や幼い記憶の集積に手を伸ばすような叫びも聞こえないでしょうか。
とにかく美しすぎる。いくら音楽に政治思想を持ち込まないで欲しいとあなたが言っても、ここまで素晴らしい音楽を聴かされたら許せてしまうのではないだろうか。
Xinlisupremeがアレコレ言いながらでも人を唸らせる存在になって欲しいと僕は思う。
ちなみに、このアルバムは確かに今年リリースされたものではあるが、厳密には収録曲のほぼ全てが既出である。色んな理由で廃盤になった『4 Bombs』と『始発列車』という二枚のEPに収録されていた楽曲を収録している。
収録されている楽曲はほぼ同じであるが、出来上がりが多少異なっていたり、曲順が違うせいで聴いた時に受ける印象が違っていたりする。EPにはEPの良さがあるし、今作のバージョンにも違った良さがある。
ただ、完全な新作であるとは言いづらいという点でこの位置で紹介させてもらう事にした。
もちろんこれは順位づけには作用していない要素ではあるが、一度どうしようもなく廃盤になってしまった音源を自分の力でもう一度世に送り出した、その姿勢や態度に感じるものも多い。芸術はもう誰にも邪魔されない次元に到達しようとしているのかもしれない。次のアルバムが出たら多分、一位としてもっと大袈裟に騒ぐと思う。
10位 若者たちへ / 羊文学
去年のランキングでベスト8になっていたメンツはちなみに、Wolf Alice、Slowdive辺りだった。『若者たちへ』というアルバムが一般的にシューゲイズに分類されること、またボーカルが女性であることなどから、それらと並べて語られるべきシューゲイズの名盤かもしれない、あるいはそれら以上か。
羊文学は、上述の二つと比べた時、どちらかと言えばWolf Aice と似た様な立場にあるバンドかもしれない。それはもうハッキリ、彼女らの音楽を聴いて、シューゲイザーだな、と言うだけでは足りない新時代のバンドだということでもある。
10年代のロックバンド、羊文学。
時代の終わる間際にようやく形をつかむことができた、これは10年代のインディロックの一つの形である。10年代というのは伝説だったシューゲイズバンドが多数再結成し新しいアルバムを出した時代でもあったし、やはりシューゲイズファンにとっては嬉しい時代だっただろう。下火になっているとは言え、ロックにも新しい時代がある。
イギリスで生まれたロックミュージックは日本でも熱心に模倣・再構築されてきた。日本においてそれは常に進化し続けてきた。しかし、僕がこれまで海外志向系の日本のインディロックバンドに常に惹かれ続けていたとは言い難い。
ジャンルを比較的最初に取り入れ再構築した先駆者たちに素晴らしいものを見ることは少なくないが、特に最近の、中堅弱の辺りにいる方々、メジャーではなければアングラでもない類のバンドとなると、どこかしらの簡易版に感じられたり、一曲通して聴けないほどハマらないことも少なくなく、堪能できるまで聴くことはまずなかった。結局、元ネタと微妙な距離を取っただけの場所でぐるぐる回っているようにしか見えなかったのだ。
しかし、羊文学という特異点で、その文脈の最先端の音楽はもはや、何かの日本的解釈でも、先輩バンドの模倣でもなくなる。そう強く感じられた。今まで反りの合わなかったシーンから好みのものに出会えた喜びで今も跳ね踊りだしてしまいそうだ。
二番煎じだと感じないようになるにはまず聴きこまないといけない、こんな飽きやすい僕でも聴き込めたってことも羊文学の凄さの一つか。
また、『若者たちへ』に散りばめられた既存のジャンルへの愛は、イギリスや日本のシューゲイズ、00年代の日本のポップ・ミュージック、アメリカのインディロックのみにとどまらない。
例えば、僕の一番好きな曲は一曲目のエンディングで。フッと浮き上がりそうになる切実なボーカルに押し倒されてぼんやりとしてしまうこの曲。聴いてすぐの頃にはピンと来なかったけど、これはもうほとんどモグワイのオマージュと言っていいくらいにやってくれている曲で。当然あの轟音パートだけではなく、全てあの方向性に気持ちいい。
このバンド、意図しているのかどうか、めちゃくちゃにポストロック的であり、それでいて凄くポップで楽しいのだ。両方の良さが満点で共存しているバンドを僕はあまり知らない。
これこそは今年の僕にとって聴きたい気分になることの多かったアルバムだった。アルバムのタイトルは何だ、『若者たちへ』というのも『Mogwai Young Team』を意識しているのではないかと勘ぐってしまう。
Young Team のエンディングってことは実質、一曲目、『羊文学 Fear Satan』なのでは? は? 曲解、もういいです。
とにかく素敵なアルバムです。
9位 New Hymn To Freedom / Szun Waves
この飛んでいってしまいそうになるアンビエントなモダンジャズは、ルークアボット率いるプロジェクトSzun Waves から。
二枚目のアルバムだそう。トリップです、宇宙です、去年アニマルスピリッツにも同じようなことを言ったような気がしないでもないけれど、宇宙的です。不気味な円がゆっくり広がったり、波紋になったり、別れたりする様な、感じで、トリップ出来ます。
ルークアボット自体は、ジェームズホールデンのレーベルに所属するそれなりに名の知れた良いDJ、電子音楽家なのだけれど、このプロジェクトでは生の楽器が前面にフューチャーされている。ドローンやテクノ、アンビエントだけでなく、ジャズ、ミニマルミュージック、ポストロック、サイケ、などの影響の中にある作品だと言える。
実はルークアボットのプロジェクトだと初めは知らず、ていうか、このレビューを書こうとする時まで知らず、変なミュージシャンがいるんだなぁ、とだけ思っていた。ツイッターでちゃんと情報を追っていないと知らぬことばかりになっている。
そりゃルークアボットが大好きな人間なのだからハマるのは当たり前でした。や、でも僕が一人ですごいすごいと言ってるわけでもないのです。
確か、BBCでトムヨークが流したミックステープにもこのアルバムから一曲入っていたはず。記憶が正しければ、Lowとか坂本龍一と並んでいた気がする。
8〜5位
8位 Virtue / The Voidz
前作より取っ付きやすい。変とカッコいいの共存という分野における、現時点でのピークをジュリアンカサブランカスはまた更新してしまった。良すぎた、カッコよすぎたな、完全にお手上げだった、ハレルーヤ。
まあ、これは何も説明しないでも良いくらい有名でしょうが。一応長い文章もあります↓
結局、本人たちですらThe Strokes を越えられない件 - Apollo96
あと、今年はストロークスの消滅をかなり危惧しておりましたが、来年ライブあるようで超安心しました。
7位 Death Lust / Chastity
Chastity はDIIV、 Wild Nothingsが在籍し、Beach Fossilsやマックデマルコがかつて在籍したレーベル、キャプチャードトラックスの新人だ。
逃げ水で視界のぼやける夏の、孤独な昼下がりに聴くべきだという印象があった音楽だが、今冬になっても情熱的に響く。これを聴いてカラダを動かせば、叫びだしたくなる気持ちも少し良くなる。
これまた新しいパンクなのかもしれないし、グランジの成長かもしれないし、裏シューゲイズなのかもしれないし、ハードコアのなんかかもしれないし、ただインディロックと言っておくだけが無難かもしれない。
聴く人によってどのジャンルに属すると感じるか、様々だろうし、どこかの枠に入れようとしてもそれはしっくりこないだろう。このオンタリオ出身のキレッキレの青年、ブランドンウィリアムズのプロジェクト、Chastityは絶妙に孤立した感情をもたらす音楽だからである。
オンタリオ州ウィットビーに生まれた労働者階級の彼の青年時代を背景に、激しく展開される世界。とにかくカッコいい彼の音楽、数年ぶりにファーストアルバムを聴いた瞬間に「一生ついていきます」という決意が起こった。Chastityの血潮に酔いしれない選択肢はない。最強。ベスト新人賞です。
6位 The Whole Thing Is Just There / Young Jesus
今年のインディロック系のアルバムで一番良かった。Young Jesus はシカゴで結成され、LAで再結成されたらしいバンドで、今作は再結成後二枚目のアルバムらしい。せっかくなので色々調べてみたが、とりあえずはアートロックというジャンルになるらしい。音楽って全部アートなんじゃないんスカ?って人なのでアートロックというジャンルが、どういうものなのかいまだにつかめていないのね。誰か教えてください。
サイケ、プログ、ポストロック、シューゲイズにジャンル幅広くスカしてまたがってるので誰もが好きかと思われる。即興中心に曲を作ってくバンドらしく、それは聴いてすぐに想像のつくことでもある。絶対ライブ楽しいだろうなと、聴くたびに唸る。遠くない未来ロサンゼルスに全部集まるのではないかこの世の素晴らしい音楽。
ライブ映像があったのだけれど、やっぱりこれは見たすぎる。絶対にみたい。ロサンゼルス、いかせて。
僕の場合は去年に出たアルバムで知って、今年のアルバムがめちゃくちゃに良いので正式にハマったという感じなのだけれど、自分も聴いたことなければ、周りに聴いている人もいないし、どんなバンドなんだよと調べてみた。ら、ピッチフォークで8点以上取ってたのでびっくり。ピッチフォークやるやん。たまには見る目あるやんけ。てか、なんで名前見なかったんだ。
まあ、これは良いですよ本当に。聴かずに年越すのは罪。
5位 Path / Kraus
伝統的シューゲイズの現代的解釈、ウィルクラウスのPathは今年リリースされたシューゲイズで最も素晴らしい作品であり、アンビエントな電子音楽としても素晴らしい作品と言える。仮にあなたがシューゲイザーでなくても聴く価値はあります。
上の動画は知らない人が聴きながら踊っている動画で、音質は悪いけどなんかエモぉい感じがあるのでMVの代わりに貼っつけました。
長い文もあります↓
ついに姿を見せた現代シューゲイザーの頂上、KRAUS - Apollo96
4〜1位
4位 Déjàvu / Matty
ヒップホップ界隈を中心に注目を浴びている若手ジャズバンドBADBADNOTGOODのキーボーディストMattyのソロ作、流石としか言いようのない出来上がりで、良い以外の言葉が出てこない。ただわかるのは、これ絶対飽きないぞ!ということで、来年からも時々聴きたくなるんだろうなと初めて瞬間にわかった。
エレクトロニカとビーチフォッシルズの融合とも取れる。ジャズからの影響はもちろん、最後の一曲に関してはクラウトロックで、何度も言うがアルバムを通して、飽きない。
劇的な音楽かと聴かれれば頷きにくいが、ずっとこれからも聴いていくくらい良いということは劇的な感動と同等に価値がある。
3位 World's Strongest Man / Gaz Coombes
元スーパーグラスのフロントマンギャズのソロアルバムはスーパーグラスと同じようにいつも聴くものを慰め、勇気付けてくれる。いや、むしろ人を元気にさせる効果に関してはスーパーグラスの音楽に比べても秀でているかもしれない。
前作マタドールがグッと拳を握ってガッツポーズでこちらに頷きながら勇気づけてくるよう音楽であったのに対し、今度のギャズはしっかり握手をするように勇気付けてくれて、強くなれたような気持になる。
どんどんレディオヘッドぽくなってくね、と言う人も多い、僕も思う。同郷オックスフォードの後輩でもあるギャズがレディオヘッドに強く影響を受けるのは当然のことだろう。
ただ、今回ただ真似してるだけではない。あら!なんと今作では、7曲目のOxygen Mask にレディオヘッドのコリングリーンウッド本人が参加しておりまして、ベースを弾いている。
ちなみに、同郷オックスフォード関係でいくと、前作マタドールでは多くの曲にドラムで参加していたライドのロズコルバートもライドでの活動が忙しかったせいか、今作でドラムを叩いていない。ただ、一曲目のWorld's Strongest Man でロズのコーラスは聴ける。ライドのオタク以外は正直聴いてもわからんでしょうけど。
しかし、こうゲストが豪華だと、アルバム自体まあ霞んで聞こえることも多い。それがギャズのソロともなれば全くそんなことがないのだからすごい。ギャズクームスの作曲の才能は、これからもたくさんの人の生命を維持していくのでしょう。
2位 Masana Temples / 幾何学模様
www.youtube.com この曲は1stの収録曲のライブ動画
日本の宝、幾何学模様様の最新アルバムである。最後の様は偉い人につける様で、最後から二つ目の様はバンド名の一部だ。Kikagaku Moyo、外国っぽい発音だと「キィカガク?モォヨ」になる。
このアルバムに収録されているほとんどの曲が、今年この宇宙で発表されたもので最も素晴らしい曲である。このサイケデリックボーイズfrom Tokyo, Japan はメキメキ凄くなっていって、今作でついに、マトモめの人が聴いても喜べるような曲揃いにして、目玉が高速回転し始めてしまうくらいぶりぶりで、実際に叫んじゃう、最高のアルバムを作ってしまった。
発売日から今日まで、ずっと白目を向いたままです。(聴いているときは高速回転します)
言葉にできない。逃げます。
KEXPのライブ映像に寄せられたコメントが面白かったで引用:
日本人のヒッピーがパジャマを着て、シタールを下げて、アメリカにやって来た。そしてドラマーにトークをさせている。こいつらは青年男女に退廃をもたらす。
この動画を見た後、髪が40センチ伸びた。
キングギザードとジャムって欲しい。
ーEarthlessとはジャムってたけど見てない?
今晩は絶対寿司を食べにいく。
サムライがパジャマでサイケを演る、だから俺は日本が好きだ。
(ドイツ語の曲名を見て)Canも誇りに思うはず。
こいつら人間か? いや、日本人か。
ダモ鈴木チルドレンだ....
日本でイマイチハマらず海外に出たらウケた系のバンドが、今やんわりと世界のクールジャパン像をめちゃくちゃにしていく様は、見ていて気持ちいいものがある。
この人らだったり、Bo Ningen だったり、Monoだったり、外国でめちゃくちゃなことをするロン毛軍団によって音楽鎖国は終焉に導かれる。
1位 Superhero's / のん
可愛い、俺たちの生きる希望、心が喜んでおりました。
以下、2019年二月加筆パート
8位 Broken Politics / Neneh Cherry
知らないアーティストだけどこのアルバムはまるでフォーテットのDJに最強の女性ラッパーが乗ったような最強トリップホップで癖になっちまうなぁと思って徐々にハマって行った。これはかなり良い。
基本的に、一旦しっかりハマってから顔やら経歴やら過去作を調べる癖のある僕は、今回もやはり色々デカイ事実を知らないまま聴いていたらしい。
よくよく調べてみると、ネナ・チェリー、彼女はストックホルム出身のかなり凄いベテランのシンガー、ラッパーらしい。そりゃ最強の女性ボーカルだと聴いて唸るに決まっている。マッシブアタックやゴリラズ、R.E.M.のマイケルスタイプなどとのコラボでも知られている。今作にもマッシブアタックのロバート・デル・ナジャ(3D)がゲストでプロデュースしている。
更によく見れば、彼女は2014年に十八年ぶりにソロキャリア電撃復帰を果たして以降、フォーテットと組んでアルバムを作っていた。もちろん復帰後二作目となる今作もフォーテットプロデュースである。そりゃフォーテットのDJに聴こえるに決まってる。
僕はフォーテットがちょくちょく更新している最近のおすすめプレイリストを見てこのアルバムを知って、やはりフォーテットのようなものを聴きたいなら彼自身のプレイリストを攫うのが一番だなと感心していたのに。その中で一番気に入ったアルバムが彼自身によるものだったとは、なんとも悔しい感じがある。
ベスト16は以上です。後編はランキングからは漏れたもののすごく良かったアルバムなんかをまとめております。
(重すぎて読めなかったという人らほんまにすまんかった)
by merah aka 鈴木レイヤ