口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第1章・序
「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットに便乗してQueenの記事を書こうとしたミヨシは、大真面目に書けば書くほど文章がだだ滑りし、バンドの本質を捉えられるどころかどんどんと核心から離れていく感覚を拭えず、書いては消しの繰り返しを経た後に1つの結論に至った。
「せや、居酒屋の与太話みたいななノリの記事にしたろ」
以下がその結果である。
対談者紹介
べしちゃん:Queenをフレディマーキュリーっていうヤバいおじさん率いる医者と学者の副業小遣い稼ぎバンドだと認知していた時期を経て、Killer Queenのえちえち毛皮ニキにWanna tryされた中学時代を過ごしたオタク。約10年ぶりにQueenの沼に呼応され「ボラプ」を見た勢いで退職届を出してきた。今回喜び勇んでタイトル絵をシャカシャカ描いた。
ミヨシ:音楽にハマったきっかけはQueenの「Jewels」。以降70年代の音源を買い揃えるが、段々他のバンドにも目移りし、途絶。しかし「ボラプ」を見てから再びアルバムマラソンを再開し、駄作期に正面から突っ込んで悶絶している。
ミ:さて、映画「ボヘミアン・ラプソディ」が世界中で大ヒットな訳ですが…
べ:嬉しいもんですよマジで。ファンでもないお母さんと見に行って無事沼に叩き込みました。
ミ:つまり、Queenや70年代、80年代のロックを元から聞く層以外を巻き込んだ社会現象になってるわけですね。挙句にはゴールデングローブ賞を取り、アカデミー賞でも有力候補と。
べ:イタコ芸のその先をいってましたもんね。
ミ:イタコ芸とは。
べ:最近のQueenってご存知です?ライブパフォーマンスや商売の展開の仕方について。
ミ:軽くは知ってますが、今一度おさらいしてもらっていいですか?
べ:例を挙げると、2013年ごろから超絶歌上手いニキことアダムランバート氏を携えQueen+Adam Lambert名義である程度の規模以上のライブはやってるんですよ、音源は出してないものの。
ミ:そうでしたねぇ。幾度か来日公演もしてますね。
べ:で、2014年のサマソニでヘッドライナーとして出演してまして、中学の時にダダハマリした身なのでもちろん行ったんですけど…
ミ:どうでしたか。
べ:もちろん本物のブライアンメイがレッドスペシャルを弾いてて本物のロジャーテイラーがドラム叩いてるんですよ。
ミ:そりゃそうでしょう。Queenのライブですから。
べ:アダムランバートだってものすごい実力派シンガーですよ、一大オーディション番組アメリカンアイドル出身ですからね。それでいてアダムランバートの歌唱ではなく「Queen+Adam Lambert」としての歌唱なんですよ、本当にこのシンガーは凄いなと思いました。
でも!「クイーン」という歴史がそれを許さない!
ミ:それはフレディマーキュリーという圧倒的カリスマを考えたら当然といえば当然な話ですよね。Nirvanaも決してパーマネントなバンドとして復活できなかったし、偉大なるフロントマンの不在は埋めようがない。
べ:アダムが歌ってる後ろに映像のフレディマーキュリーがいるんですよ。もちろん感涙ものの演出ですけど、でも…なんか抱いた感想はどうしてもこれは法事ちゃうねんぞ…であって…。
私は96年生まれで現役のQueenを知らないどころかフレディマーキュリーの生きた時代とすら掠っていなくて、生きたQueenたるものを知らないんですよね。
ミ:そうなんですよね。我々世代共有の忸怩たる思い。
べ:で、生で観れてもこの形。仕方ないとわかっていながらなんか寂しいもんですよ。ちなみにFreeやBad CompanyのボーカリストであるポールロジャースをQueenに「加入」させ音源作ったりなんぞはしてましたけど言わずもがな「そういうオチ」になってたので仕方ないもんではあるんですよ本当に。
で、今回の映画です!
ミ:映画という方法を使ってフレディが生き返った 。
べ:言うなれば今まで彼らのチームが行なっていたイタコ商法に変わりはないんですよ、でもQueenはスクリーンの中に生きていて、フレディの蘇生どころかQueen自体がそこに生きてたんですよ。
ミ:やっぱりそのライブ感というのはデカいですからね。それで本人たちも驚くほどの世界的ヒットを叩き出したと。ただ、映画としての出来は若干疑問が残りますが。
べ:でもこの感じ方の差ってなんなんでしょう?モノマネ映画として完璧だったからとかそんな陳腐な理由じゃないとは思うんですけど…
ミ:フレディが亡くなる1991年までのオールタイムベストな選曲で時々モニターにフレディを映して感動を煽るライブという、時間が逆行する「本物」より、デビューに端を発して伝説のライブエイドというクライマックスに向けて前に進んでいく「虚構」の方が、今までQueenを知らなかった人も巻き込んで、リアルタイムの熱狂を追体験させることができたのが大きかったんじゃないですかね。
べ:あ〜ナルホド。そっか前に進んでいくって感覚凄い腑に落ちるな…
ミ:俳優が似てる似てないとか史実との答え合わせじゃなくて、新しく作品として「Queen」を体験するという1つの新作と考えると、かつてQueenが発表してきたものへの人々の興奮をまた味わえることができた。これはあると思います。
で、映画の出来に疑問があったという話に戻るんですが、バンドとしてのQueenのあり方のご多分にもれず、色んな要素を詰め込んだ結果、B級なゴテゴテした中身になっちゃったことについてあんまり触れられないまま、映画界でも傑作扱いされて神聖化されつつあると思うんですよ。
べ:ライブエイドで全てを良しとしているところは確かにありますねえ…
ミ:別に映画が現実を描いていないことについて議論しようとは思わないんですが、このままだとライブエイドも含め、神話としてQueenが崇められる雰囲気になってるのに、曲がりなりにもQueenに触れてきた自分としてはちょっと物申したい。
というわけで今回は、Queenがどんなバンドなのか、口の悪い二人が率直に語ってみたいなと思います。
酒も捗らないオンライン座談会にて妙にアツく厚かましくなる逆張りオタクが二匹。
さてどう舵を切るんだこのタイムリーかつ恐ろしい回は!次号に続く!