Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第3章・Q

 

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QueenはこんなにオラつかないよなbyApolloBeshy

なんだかテレビでQueenの名を聞かぬ日はないほどの旋風が巻き起こっている昨今ですが、申し訳ございません通常営業で参ります。 口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第3章・Q、行ってみよー!

 

第一回の模様(映画「ボラプ」と2010年代のQueenについて)→

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

第二回の模様(「戦慄の王女」から「JAZZ」までのキャリアをおさらい)→

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

 

べ:「Jazz」はかろうじて初期キャリアにおけるQueenのアルバム作りのキモである「コンセプト性」を柱にするという体裁を保っていたものの…って話でしたね。 その後に続く「The Game」、「Hot Space」…どうでした?


ミ:ここからはもう隠しきれないレベルで別物の作品ですね。アルバムを1stから聞いてる人は分かるんですが、初期のアルバムではお約束だった、終盤に大団円な楽曲とアンコール風の小品を入れるという流れがなくなってしまうんですよね。そして、それ以上に目につくのがリズム隊のコンポーザーとしての存在ですね。


べ:ディーコンが一発当てちゃうんですよね!


ミ:1番最後に曲作りを開始したジョンちゃんが最初にアメリカ市場をかっさらっていく笑
一方で、ロジャーもニューウェーブオタクとして、異質性をもたらしてくる。


べ:今まで各アルバムの箸休めイージーポップ担当とカラッとしたロックンロール担当だった2人がじわじわポテンシャル見せてくるんですよね。

 

ミ:こうやって後から変遷を見てみると、デビューが同世代より数年遅れたことと、ライブが下手でスタジアムバンドになってなかったことが幸いして、年齢の割にはまだ新しい時代に向けて切り返せるポテンシャルがファンベース、バンド、個々のメンバーとそれぞれにあったんじゃないかなと思います。


べ:英国と異なるシーンを持ってたアメリカ市場への参入時期も良かったですよね。
ここで面白いなって思うのが、その転換期ごとに髪切ったりヒゲ生やしたりなんか知らないけど、綺麗にビジュアルイメージごと切り替えてくるの…あれなんでなんでしょうか?わかりやすくてありがたいんですけど笑


ミ:デヴィッドボウイもそういうところはありますね。パンクとニューウェーブを真の意味で乗り越した仲間として見ると、その後両者がスタジアムを埋める直前にコラボしたことは感慨深いものはあります。


べ:両者とも商売って観点においてビジュアルも立派な商材であると自覚してる人達ですもんね(ライブも商材やぞって言いたくなる時代ありますけど)。


ミ:Queenは反射神経が良い、ボウイは思慮深い(もちろん研ぎ澄まされた時代感覚の持ち主ですが)という因子がイメチェンに帰結したんでしょうか笑


べ:なんか通知表つけてるみたいになってきましたね。みんな可愛い〜(白目)
まあそんな話が出たところで分かりやすくフレディマーキュリーにヒゲが生え散らかして1作目、ディーコン作「地獄へ道づれ(Another One Bites The Dust)」行ってみましょうか。


ミ:(ラジオか?)


べ:劇中でもハイライトとして用いられており史実としても一番大きな転換期だったと思うんですけど、ディーコン作のこれが当たっちまったが故に次作「Hot Space」が爆誕し大爆死!というのが通説ですけど…

 


べ:ぶっちゃけ今2019年に聴く「Hot Space」はいうほど悪くないんですよね?笑


ミ:そうですね。初期以来に久々に野心的なQueenを聞けるので良いアルバムだと思います。とはいえ、フレディのソロがディスコに走ったことを考えると、ジョン以外のメンバーの欲深さから生まれた脱線作なのはほぼ間違いないですが笑

少なくとも、「The Game」みたいに、保守派メイによる時代錯誤ハードロックナンバーと、流行分かってるキャラのロジャーによるニューウェーブ風という名の実質デモソングとがとっ散らかっている構図よりはずっとマシです。


べ:地味にアルバム構成も初期っぽい。


ミ:「Queen II」よろしく、A面がリベラルサイドで、B面が保守サイド。

 

べ:前作「The Game」に無かった、なんなら「News〜」あたりから怪しかった「洗練」って要素が戻ってきたんですよね。


ミ:これは完全な想像なんですが、ディスコ文化の80年代って、シングルが重視されたと同時にDJの曲繋ぎのセンスがより求められるようになった時代ですよね。その辺りの文脈が関与してるのかなとはちょっと思います(「The Works」聞いたらそんなことなかったですが)。


べ:なるほどねー…それもあるのか…確かにバックグラウンドミュージック文化に基づいた作品と考えた時、後に自前の曲をがっつり目見開かせて聴かせるスタジアムバンドとして成長していく中で鬼のように「Hot Space」曲がセトリ落ちしていったのも頷ける。

 

 
べ:で、ライブ作品でいうと「Queen On Fire」や、高画質映像作品として残った「Live At Montreal」がこの辺りで出てきます。もうここまできたらあの75年のクソライブなんやったんやと思えるクオリティですよ!


ミ:この頃になると大分みんなの知ってるQueenなんですよね。

 

べ:ヒゲも生えてるしね。短パンやしね。


ミ:この頃のミュージックライフってフレディをどんな扱いしてたんですかね笑


べ:昨今のボラプブームでミュージックライフのクイーン記事の再発本が話題ですが、アレを持ってまして…見てみたところ正味ロン毛やってた頃の記述に重きを置きすぎで、この辺は目立った扱いなかったです。悲しいな…


ミ:それでも西武球場でライブやってますから、日本での人気はむしろ伸びてるんですよね。

 

     


ミ:で、「Jazz」に引き続き、「評判悪かったから前の路線に戻す」を敢行した「The Works」ですが、まさかの「「The Game」でやらかした、とっ散らかり路線に復帰」というリスポーンキル案件。


べ:そのかわりめちゃくちゃライブ映えするというかアルバム半分シングルカット状態なんですよね笑 で、今やあまり言われることもない南アライブ事件もこの辺と…


ミ:一応、アパルトヘイトへの異議を唱えに行くという大義名分を敢行したことである程度の汚名を雪いだのですが、南アが国際的に総スカンを食らってる状態でライブしに行ったら、南アを国としてまともに認めた上での行動だとか言われて相手側に良いように利用されるかもしれないという可能性は無視された、Queenのエンターテイナーとしての軽薄さが出た、良くも悪くも彼ららしさが頂点だった頃ですね。


べ:今や「ザ性善説」のもとに成り立ってる人徳者バンド的立ち位置ですけど、商売を見てるとどうなんかな?やり方が何かと軽薄やな?って思っちゃう主たる原因ですよね。


ミ:この頃のフレディのインタビュー読んでると、「無名だけど良いクリエイターなんてのはナンセンス、売れなきゃ無意味」みたいな、よく炎上しなかったなって発言がサラッと出てきたり、10年以上に渡って持ち続けてきた彼らの考え方であったりやり方であったりの蓄積が噴出してるんですよね。


べ:ツイッターなくてよかったですね…


ミ:それを言うと大体のバンドはあの当時の社会だから穏当に売れたんですが笑

 


べ:で、そんな南アを経由して、「The Works」リリース1年後に例のライブエイドです。

 

ミ:あのライブは確かに素晴らしいですし、テレビ中継で世界中の人間の目に止まったのがバンドの世間での評判と団結力を復活させたのは間違いないでしょう。
ただ、1つトリックを言うとしたなら、ライブエイドでは他のレジェンド枠が醜態っぷりを晒したってのがあるんですよね。


べ:ライブエイドのウィキペディアけっこうエキサイトしてて面白いですもんね…


ミ:あそこに書いてないのだと、Led Zeppelinのフィルコリンズを招いて再結成(後に失敗と認める)やQueenと入れ替わりに凋落していったボウイの急造バンドによるやっつけ仕事など、全てが悪かったわけではないものの、Queenの追い風状態が醸されてしまってるんですよね。


べ:でもあの20分間にできることをやり尽くした構成力と楽曲の強さと持ってるカリスマはやっぱりガチなんですよね…ステージは同じくウェンブリー、1年後に言うなればライブエイドの延長と言えるような大規模ライブマジックツアーを敢行した訳ですが、あれでいよいよライブバンドとしてのQueenが成熟しますよね。


ミ:あれが4人で最後のライブになってしまったのが、ロック界最大のwhat if ですが…ただ、この時期においても、初期の下手くそライブ時期から変わってないものもあるんですよね笑


べ:どんくさいブライアンの振る舞いかな…!?例えばどういうところにそれを感じます?


ミ:Wembleyのセトリが分かりやすいですけど、「One Vision」〜「Tie Your Mother Down」と、新旧のハードロックナンバーでキメて間髪入れず3rdの終曲「In The Lap Of The Gods」でクライマックスめいたのシンガロングを煽るんですよ。これで最初の10分。


べ:濃厚〜。


ミ:それ以外そこまでおかしくないものの、所々曲の使いどころがおかしい笑

 

べ:とはいえ、謎のフレディソロもクソ長ギターソロも様になってるし成長ってやつですよね。後出し上から目線。

 

 

ミ:そしてその時期に出た「A Kind of Magic」。僕はこれ以降のアルバムをしっかりとは聞いてないので、解説をお願いします。


べ:映画「ハイランダー」のサントラとしての役割を兼ねているんですけど、フラッシュゴードンの時のようなバチバチのサントラではないので1アルバムとして楽しめます。サントラな以上コンセプトは確立した作品なので、初期作品のようなコンセプチュアルな部分も併せ持ちつつこの時期の楽曲の派手さももちろんあって非常にQueenっぽいアルバムです。


ミ:やはりこのアルバムで復活したという声が多いですよね。

最近になって生き残り組がエイズを知らされたのがライブエイド後とか暴露しだしたので、本作の意味合いもまた変わってくるんですが...


べ:そこはなにも映画のタイミングで真偽のほどは別にしろ口出さなくてよかったと思ったんですけどね。ああいうところあんま良くない。


ミ:映画の不死の主人公たちにインスパイアされて「Who Wants To Live Foever?」を作ったはずのブライアンが、フレディに「ねぇねぇ今どんな気持ち?」って余命をネタにした内輪ソングを作ってたって話になりますからね…


べ:ある意味呪いですわよね彼の死も。

 

 

べ:まっ次にいきましょう。ライブはしない宣言もこの時期なんですけど、「The Miracle」発売!ここからクレジットが全てQueen名義になります。オールクイーンクレジットのアルバムらしく初っ端2曲はジャムセッション内で形成した曲らしいですが、相変わらず誰がどの作品作ったのかよく分かる感じがなんとも愛おしくて、私の1番好きなアルバムの1つです。


ミ:当時のファンはみんな何も知らずに無邪気に享受してたんですよね。キャリアを20年近く積んで新たなる黄金期を迎えたってかなりレアなケースですね。

 

べ:リリース年は1989年、日本では平成元年で世ではジャネットジャクソンの台頭なんかと時期を同じくしたみたいなんですけど、サウンドはこれでもかってほどQueenです。Queenっぽいんです、メンタル面での結託や長年の争点だったらしいクレジット問題の解決、ライブはしないという決断を下した以上、少なくともフレディの病状についてもバンド関係者内で理解を得た頃だったんだと思います。

今でもテレビで聴くわ!みたいな曲こそ入っていないものの、全キャリア中1番現在のQueenのステレオタイプっぽい音楽やってるアルバムだと思います、この頃のライブ見たかったな〜…

 

ミ:ある意味初めてバンド全員で協力して作ったアルバムですね。それと、ロジャーが迷走期のKYっぷりから一転してヒットメイカーになってるのが凄い。


べ:アルバム中ラストソングの「Was It All Worth It」がまたいいんです…!


ミ:「素晴らしきロックンロールライフ」という邦題がいい味出してます。


べ:「The Show Must Go On」がより死や幕閉じの匂いを感じさせる叫びと覚悟の曲だとしたら、そこへ向けて昇華させるための今までの「Queenそのもの」への肯定の曲で、それを踏まえた邦題もとても粋。なんだかこれまでこの企画でキャリア振り返ってきたのも報われるような…人間40歳で不惑と言いますがまさにそういう立ち位置のアルバムですね。…あかんミラクル好きやからまだまだ喋れるんですけど…


ミ:次行きましょう笑

 

 

終局。それは始まりのあとに、必ず訪れる。私たちの願いは、未来へと連なるのか。私たちの希望は、死そのものなのか。最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」…じゃなくて「シン・口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第4章」。さーてこの次もサービスしちゃうわヨ。なんとなく何が言いたいかわかるくない?よかったら次もチェケラしてね❤️