Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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東西スポーツ観戦女子、大いに舌戦す

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「開幕」。それは春の訪れ、はたまた戦いの始まり、めくるめく訪れる明日、もとい週末*というものへの希望…apollo96には春を待ち望んだ女が2人いる。

 

青コーナー:もちこ

東のフットボール女子。

地元横浜のフットボールチーム、横浜F・マリノスを愛して4年目。スタジアムでの観戦スタイルは片手にビールが常。

アンジェ・ポステコグルー監督のフットボール哲学に大いなる期待を抱く22歳。

 

赤コーナー:べしちゃん

西の野球女子。大阪在住22年目にして阪神タイガースファン2年目。生まれついてのトラキチではなくぐるっとプロ野球が好き。

藤浪・大山・北條の同級生お立ち台を見るまで死ねない。本当に藤浪の力になりたくて連日のニュースに涙を流すお年頃。

 

*…野球女子がこの文書いたら「Jリーグは週末にしかやらねえよ」と早速殴り合いが始まった。これはアツい。各リーグ開幕に先立って東のフットボール女子対西の野球女子のアツい殴り合い4ラウンド行ってみよう、ファイ!

 

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round1:いつからアタイら道を分かつ仲に


も: 道を分かつ仲にってやつはアレかな、なんでフットボール派になったのかみたいなんを話すのかな?


べ:そうそう、何故なん?横浜DeNAベイスターズあるやん?


も:私は元々家族がフットボール好きってのもあったんだけど2014年のブラジルワールドカップをきっかけに本格的に観戦するようになったんだ〜。


べ:ワールドカップか…いきなり野球にない世界競技人口を出されんのん強い…


も:フットボールは世界規模だからなあ……逆にべしちゃんはなんで野球派なんですか。


べ:いや阪神タイガースもこの狭い関西においては覇権やからね!?なんといってもサンテレビですよ。
サンテレビというローカル局がシーズン中ずっと阪神の中継を流してて、まああんまり民放のテレビ好きじゃないから一人暮らしの寂しさ紛らわすのにテレビ付けてサンテレビにチャンネル合わせてたら洗脳されたというか…


も:なるほどね…それでハマったわけね。
阪神とかはわりと地域密着型な感じで親しみやすかったりするのかな。

 

べ:密着も密着、でもここまで土着の宗教と化してる球団もないかも。


も:Jリーグは完全に地域密着型だけど野球はそういうイメージあんまないよね。


べ:もう一個オリックスバファローズっちゅー大阪球団あるんやけど、そっちにはいかず地味に兵庫県球団な阪神に行っちゃったのは正直負けを認めざるを得ない…


も:べしちゃん出身兵庫なのか。


べ:大阪の極北💕


も:大阪なのかよ笑笑 アレかな、横浜出身だけどマリノスじゃなくてフロンターレ応援しちゃうみたいな感じかな。


べ:わかんねーけど多分そーだ!!
逆に全然サッカーと地域密着ってポイントが知らん身としては繋がらないんやけど、どんな感じなん?


も:それは禁忌を犯してるな…
フットボールは地域密着で地元を盛り上げてこうみたいな感じなんだけどみんな地元愛強すぎる感じだよ。
ダービーってやつがあるんだけど大体隣町チームとか因縁の相手との試合がめちゃ盛り上がるよ!


べ:ダービー、気になる。


も:海外を例にするとブンデスリーガのルールダービーっていうシャルケ対ドルトムントの試合前のサポの様子がこれ→

youtu.be


べ:もはや代理戦争で草


も:野球もこういう因縁の相手との試合とかは盛り上がるんじゃない?


べ:そうやねん、昔から阪神巨人戦は「伝統の一戦」って謳い文句付いてたりそういう側面あってんけど、ちょっと最近阪神ポンコツやから示しつかなくなってきて…昨年度最下位…


も:伝統といえばJリーグだとオリ10ってやつがあるけどそんな感じのやつか。
わかる、なんかチームの強さのレベル違うと気まずくなるやつな…


べ:阪神最下位でオチが付いた!さすが大阪名物阪神タイガースやで!(泣)

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round2:「現地」はたのしい

べ:ズバリ現地観戦の良さといえば!


も:現地観戦の良さといえばやっぱ野球とも共通すると思うけど、臨場感じゃないかなあ。スタジアム行かないと味わえない楽しさ沢山あるよね。

 

べ:これ多分共通のエモさやと思うねんけど、中継では基本ボールを中心に写すから、ボールから遠い位置で守備してる選手が状況に応じてサッと動いてるさまを見るのがテンション上がる。


も:テレビで観戦しててもまあ楽しいっちゃ楽しいけどフィールド全部写してくれるわけじゃないからオフザボールの時の選手の動きとかわからないんだよね。

 

べ:あと応援歌!メシ!たまたま席が横のおっさん!


も:応援歌とメシ(酒)はいいね!オッさんはわからんけど!
ちなみにフットボールは応援歌じゃなくてチャントっていうよ!

べ:チャント、なんの略?


も:チャントはフランス語が由来らしいよ(ググった)略じゃなくて単語。


べ:なんかイチオシ教えてや。


も:イダレオ イダレ横浜かな!

youtu.be


も:あと最近のマリノスはゴール決めたときにホワイトストライプスのSeven Nation Army流すようになったからかっこいいぞ!

べ:これはめちゃくちゃカッコええ…ホワイトストライプスもヤバいな…


も:俺ら横浜 俺らだけが横浜ってところがHood愛を感じるよね!

 

べ:そういうエモみ大好物です。


も:阪神の応援歌はなんかいいのある?


べ:野球は7回にラッキーセブンっていうのを各球団やるんやけど、まあ案の定六甲おろしを歌う…(甲子園・京セラ開催のホーム戦はファンファーレ)

各球団ラッキーセブンは球団歌を歌って傘振ったりタオル回したりジェット風船飛ばしたりやねんけど、阪神は(今の弱さと裏腹に)ファンの数だけはめちゃくちゃおるからジェット風船飛ばしがとにかくエモい!

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も:ジェット風船は会場で配られるんすか??


べ:…自腹でーすwww足元見られてまーすwww


も:そっかあ…キッチリしてるなあ…


べ:それこそ横のおっさんがプレゼントしてくれたりするから…!


も:それは隣のおっさん魅力あるな…

 

 


も:そう、マリノスは勝ったらトリパラというものを回してみんなで喜ぶんだけど野球にはそういうのある??


サンフレッチェ撃破後のトリパラ満開


べ:傘回しやん!ヤクルトスワローズがやってる!!


も:まじか。


べ:正直間者としてヤクルト戦何回か見に行ってるんやけど、傘回しはほんま正直阪神の得点六甲おろし合唱よりたのしい。

 

youtu.be


も:これかwww東京音頭ってのがまた雰囲気あるな。


べ:踊り踊るな〜らチョイと東京音頭っヨイヨイ…ヤクルトと試合してる時って阪神ファンもつられてビニ傘とかメガホンとか振るねん、我ら可愛いやろ…


も:負けたのにノっちゃうところがいいね!


べ:試合のたびに自腹切って風船買うくらい人が良いから!(泣)

 

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round3:ココが変だよアンタたち


も:ついに来ましたねこの話題。


べ:ここが楽しみやった。かかってこいよ!


も:まずフットボールは運動量が多いから週一でしか試合ができないんだけど野球は毎日試合あるのずるいっす。動員数考えると野球は金の儲けも違うじゃないですか。


べ:たしかにギャンギャンに平日もやっているしスポーツニュースでも幅を取る。


も:そうだそうだ!ニュースでスポーツのことやるにしても野球ばっかでJサポ悲しい。


べ:1リーグ6球団で年間125試合プラスリーグ交流戦やってるって言ったらめちゃくちゃ怒られそう。そんなにいらねえよって思うやん?思うやん?


も:こっちはリーグ戦だと年間34試合くらいかなあ…いやほんと一試合の勝敗がめちゃくちゃ大事になるんだよな…


べ:まあ正直一戦一戦の価値の差はある。でもね下手に投手を推しちゃうと!こんだけ試合日数あっても推しが登板するの年間6回とかあればいい方っすよ!つれえ!

も:あとこっちはJ1だけで18チームある中で優勝競ってるけど野球は6チームくらいじゃん???
も: 競争率低くね???(煽ってる)


べ:…それはある…リーグ合わせても12球団、もうちょい増えてもいい気がする
でもさ逆にさ!そっち多くね!?!?


も:たしかにJ1,J2,J3あわせると55チームだわ。


べ:多ない!?敵を把握できんくない!?


も:それくらいリーグ優勝が感動的なものになるんだよ!!!


べ:それはあるけどよっぽどのことない限り戦力の底上げが起こらなさそう。


も:戦力の底上げはまずリーグ優勝とかして賞金をもらって強い選手を補強したり観客動員数を増やして金を儲けたりスポンサーから金をもらったりなんやかんやするんだけどとりあえず金って感じなんだよ。


べ:あーそうか、興行として続けられなくなったらおしまいやもんなぁ…


も:フットボール派に物申したいところないですか。


べ:私の周りにも何人かいるんやけどガチ勢が「サッカー」とは呼ばない理由を教えてほしいんだ。


も:アメリカがフットボールのことをサッカーっていうからだよ。
アメリカにはアメリカンフットボールってのがあるから区別するためにサッカーって言いはじめたみたいだけど。


べ:米英カルチャー差の只ならぬ確執をここ日本で感じる…あとユニを街で着れるの羨ましいな、おしゃれなユニしやがって。


も:

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べ:うわムカつくな!グッズがなんもおしゃれにならんからトイレのタオルと化してる身にもなれや!


も:でもJリーグのユニはやっぱガチ感でるからおしゃれな感じで着れないよ…


べ:でもガンバ大阪がユニ配布デーにめっちゃかっこいい太陽の塔コラボユニ配ってるの見てだいぶ揺らいだ経験がある。羨ましい。


も:野球のやつはなんかブルーノマーズとか着てなかったか…?ほらなんか阪神っぽいじゃん。

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べ:おっおしゃれ〜〜!(白目)


も:野球ファンはブルーノマーズめざしてこ。


べ:24Kのオンナになるぞ…


も:がんばって!

べ:(煽られとる?)

 

 

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round4:そこまでいうなら推しの見どころ教えてよ

 

べ:正直だいぶJリーグ興味湧いてきました、マリノスの好きなところ熱いプレゼンお願いします!!

も:そうですね、マリノスは元々マンチェスターCと提携関係を組んでいるんですけど、監督がポステコグルーに変わってからベップ哲学を受け継いだトレンドに乗った戦術でゲームを繰り広げているのが見どころですね。

地元のチーム愛的な面で語るとやっぱり先進的でグローバルな視点を持った、シティー派なマリノスを誇りに思ってます!!!
今のマリノスは初めて観る人でも楽しめる、超攻撃型なフットボールをしてるので是非日産スタジアムに足を運んでください!!(ステマみたいになった)

 

べ:マンチェスターってあのマンチェスター?なんかちゃんとサッカーもといフットボールが世界市場なのをありありと見せつけられている…すごいな…ぶっちゃけナメてたわJリーグ。


も:プレミアリーグのマンチェスターCな!!マリノスはすごいんだぞ!!


べ:やっぱり何であれ取っ付きやすいのは攻撃型戦略やってるチームよね、トリパラに親近感覚えたし見てみたくなった…推しの選手とか聞かせてヨ。


も:フィールドプレーヤーなら仲川っていうFWの選手がめっちゃ足速くてドリブルも上手いので攻撃パターン広がるし彼から攻撃仕掛けていくところは多分初心者から見てもかなりかっこいいと思う!!
マリノス観てね!!!


も:べしちゃんの阪神愛も聞かせてくれ!!!

 


べ:ドドン/ 阪神タイガース、正直今めちゃくちゃ弱いです。

昨年ペナント最下位で監督や打撃コーチは変わったものの、ぶっちゃけみんな何かのせいにしたかっただけで全然変化なくて苦しいオープン戦を迎えてまして…
ただ良くも悪くも世代交代の真っ最中のチームで、このどん底を味わった今の若手世代がいつの日か黄金世代と呼ばれるはずで…マジで…今ちょうど過渡期でしんどい思いもするけども同世代が歯食いしばって頑張るさまはエモいぞ!😭


も:世代交代の時期を迎えたチームってほんま結果出にくいし辛いよな…その気持ちよくわかるわ…


べ:推しの藤浪晋太郎プロ6年目右腕投手は高校野球甲子園優勝投手、ルーキー時代に最速50勝上げたものの、今は圧倒的な制球難に苦しんでて本当に正直このまま阪神にいてもいいことないんじゃってずっと言われてるけど、一挙一動日進月歩を繰り広げるさまに勇気付けられて今の私がいるのもある思い入れがものすごい選手でして、マジで頑張ってほしい!!えーーーん!!!!

 

も:めっちゃ思い入れ強いやつだ…


べ:ちな昨日開幕2軍スタートが決定してガチ泣きした…

も:一軍に上がれますように…


べ:まあでも勝手な押し付けって言われちゃそこまでやけど、こうやって勇気付けられたりするのはナマモノたるスポーツの良さよね…


も:そうだね、スポーツってのはやっぱ一喜一憂があるのが面白いしチームに感情移入してくからどんどんハマっていくんだよな。


べ:また我々地元チームを応援する身だとその寄り添う気持ちもまた倍増で…


も:いやほんとそれな…


べ:たまにライブとか行くよりコスパええなとすら思うねんけど、勝ち負けの概念だけエグい。


も:ライブは勝ち負けないからな笑 フリースタイルラップバトルくらいだわ。


べ:暇見つけてマリノスと阪神交換留学ならぬ交換観戦しようよ…って言いたかったけど、私が現地行くと負けるんよね〜たまにいるよねそういう奴。


も:私も最近観にいく試合で勝ててないから怖い…


べ:もしかしてアタイたち双方貧乏神なの?この記事大丈夫なの??


も:お互いのホームで観戦してお互いに推してるチーム負けたら面白いよね。


べ:ド地獄や…


も:ど地獄だけどそれがスポーツ観戦の醍醐味だ!!


べ:あっなんかオチっぽくなった!完いっとく?


も: 完。


べ:ハイタッチ!


も:🙏

 

 

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べ:おつかれーー!!
も:おつかれさま!!!
べ:おもろかったこれ

も:誰が見るかわからんけど楽しかったな

べ:放り投げといたら誰か検索で引っ掛けるって多分

  多分

 も:(多分)

べ:自己満記事はだいじ

も:まあ我々カルチャー集団だからいろんなの触れないとな!!音楽以外にも!!大事な記事になったな…(完)

べ:(完)

 

 

 

 

 

口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第3章・Q

 

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QueenはこんなにオラつかないよなbyApolloBeshy

なんだかテレビでQueenの名を聞かぬ日はないほどの旋風が巻き起こっている昨今ですが、申し訳ございません通常営業で参ります。 口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第3章・Q、行ってみよー!

 

第一回の模様(映画「ボラプ」と2010年代のQueenについて)→

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

第二回の模様(「戦慄の王女」から「JAZZ」までのキャリアをおさらい)→

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

 

べ:「Jazz」はかろうじて初期キャリアにおけるQueenのアルバム作りのキモである「コンセプト性」を柱にするという体裁を保っていたものの…って話でしたね。 その後に続く「The Game」、「Hot Space」…どうでした?


ミ:ここからはもう隠しきれないレベルで別物の作品ですね。アルバムを1stから聞いてる人は分かるんですが、初期のアルバムではお約束だった、終盤に大団円な楽曲とアンコール風の小品を入れるという流れがなくなってしまうんですよね。そして、それ以上に目につくのがリズム隊のコンポーザーとしての存在ですね。


べ:ディーコンが一発当てちゃうんですよね!


ミ:1番最後に曲作りを開始したジョンちゃんが最初にアメリカ市場をかっさらっていく笑
一方で、ロジャーもニューウェーブオタクとして、異質性をもたらしてくる。


べ:今まで各アルバムの箸休めイージーポップ担当とカラッとしたロックンロール担当だった2人がじわじわポテンシャル見せてくるんですよね。

 

ミ:こうやって後から変遷を見てみると、デビューが同世代より数年遅れたことと、ライブが下手でスタジアムバンドになってなかったことが幸いして、年齢の割にはまだ新しい時代に向けて切り返せるポテンシャルがファンベース、バンド、個々のメンバーとそれぞれにあったんじゃないかなと思います。


べ:英国と異なるシーンを持ってたアメリカ市場への参入時期も良かったですよね。
ここで面白いなって思うのが、その転換期ごとに髪切ったりヒゲ生やしたりなんか知らないけど、綺麗にビジュアルイメージごと切り替えてくるの…あれなんでなんでしょうか?わかりやすくてありがたいんですけど笑


ミ:デヴィッドボウイもそういうところはありますね。パンクとニューウェーブを真の意味で乗り越した仲間として見ると、その後両者がスタジアムを埋める直前にコラボしたことは感慨深いものはあります。


べ:両者とも商売って観点においてビジュアルも立派な商材であると自覚してる人達ですもんね(ライブも商材やぞって言いたくなる時代ありますけど)。


ミ:Queenは反射神経が良い、ボウイは思慮深い(もちろん研ぎ澄まされた時代感覚の持ち主ですが)という因子がイメチェンに帰結したんでしょうか笑


べ:なんか通知表つけてるみたいになってきましたね。みんな可愛い〜(白目)
まあそんな話が出たところで分かりやすくフレディマーキュリーにヒゲが生え散らかして1作目、ディーコン作「地獄へ道づれ(Another One Bites The Dust)」行ってみましょうか。


ミ:(ラジオか?)


べ:劇中でもハイライトとして用いられており史実としても一番大きな転換期だったと思うんですけど、ディーコン作のこれが当たっちまったが故に次作「Hot Space」が爆誕し大爆死!というのが通説ですけど…

 


べ:ぶっちゃけ今2019年に聴く「Hot Space」はいうほど悪くないんですよね?笑


ミ:そうですね。初期以来に久々に野心的なQueenを聞けるので良いアルバムだと思います。とはいえ、フレディのソロがディスコに走ったことを考えると、ジョン以外のメンバーの欲深さから生まれた脱線作なのはほぼ間違いないですが笑

少なくとも、「The Game」みたいに、保守派メイによる時代錯誤ハードロックナンバーと、流行分かってるキャラのロジャーによるニューウェーブ風という名の実質デモソングとがとっ散らかっている構図よりはずっとマシです。


べ:地味にアルバム構成も初期っぽい。


ミ:「Queen II」よろしく、A面がリベラルサイドで、B面が保守サイド。

 

べ:前作「The Game」に無かった、なんなら「News〜」あたりから怪しかった「洗練」って要素が戻ってきたんですよね。


ミ:これは完全な想像なんですが、ディスコ文化の80年代って、シングルが重視されたと同時にDJの曲繋ぎのセンスがより求められるようになった時代ですよね。その辺りの文脈が関与してるのかなとはちょっと思います(「The Works」聞いたらそんなことなかったですが)。


べ:なるほどねー…それもあるのか…確かにバックグラウンドミュージック文化に基づいた作品と考えた時、後に自前の曲をがっつり目見開かせて聴かせるスタジアムバンドとして成長していく中で鬼のように「Hot Space」曲がセトリ落ちしていったのも頷ける。

 

 
べ:で、ライブ作品でいうと「Queen On Fire」や、高画質映像作品として残った「Live At Montreal」がこの辺りで出てきます。もうここまできたらあの75年のクソライブなんやったんやと思えるクオリティですよ!


ミ:この頃になると大分みんなの知ってるQueenなんですよね。

 

べ:ヒゲも生えてるしね。短パンやしね。


ミ:この頃のミュージックライフってフレディをどんな扱いしてたんですかね笑


べ:昨今のボラプブームでミュージックライフのクイーン記事の再発本が話題ですが、アレを持ってまして…見てみたところ正味ロン毛やってた頃の記述に重きを置きすぎで、この辺は目立った扱いなかったです。悲しいな…


ミ:それでも西武球場でライブやってますから、日本での人気はむしろ伸びてるんですよね。

 

     


ミ:で、「Jazz」に引き続き、「評判悪かったから前の路線に戻す」を敢行した「The Works」ですが、まさかの「「The Game」でやらかした、とっ散らかり路線に復帰」というリスポーンキル案件。


べ:そのかわりめちゃくちゃライブ映えするというかアルバム半分シングルカット状態なんですよね笑 で、今やあまり言われることもない南アライブ事件もこの辺と…


ミ:一応、アパルトヘイトへの異議を唱えに行くという大義名分を敢行したことである程度の汚名を雪いだのですが、南アが国際的に総スカンを食らってる状態でライブしに行ったら、南アを国としてまともに認めた上での行動だとか言われて相手側に良いように利用されるかもしれないという可能性は無視された、Queenのエンターテイナーとしての軽薄さが出た、良くも悪くも彼ららしさが頂点だった頃ですね。


べ:今や「ザ性善説」のもとに成り立ってる人徳者バンド的立ち位置ですけど、商売を見てるとどうなんかな?やり方が何かと軽薄やな?って思っちゃう主たる原因ですよね。


ミ:この頃のフレディのインタビュー読んでると、「無名だけど良いクリエイターなんてのはナンセンス、売れなきゃ無意味」みたいな、よく炎上しなかったなって発言がサラッと出てきたり、10年以上に渡って持ち続けてきた彼らの考え方であったりやり方であったりの蓄積が噴出してるんですよね。


べ:ツイッターなくてよかったですね…


ミ:それを言うと大体のバンドはあの当時の社会だから穏当に売れたんですが笑

 


べ:で、そんな南アを経由して、「The Works」リリース1年後に例のライブエイドです。

 

ミ:あのライブは確かに素晴らしいですし、テレビ中継で世界中の人間の目に止まったのがバンドの世間での評判と団結力を復活させたのは間違いないでしょう。
ただ、1つトリックを言うとしたなら、ライブエイドでは他のレジェンド枠が醜態っぷりを晒したってのがあるんですよね。


べ:ライブエイドのウィキペディアけっこうエキサイトしてて面白いですもんね…


ミ:あそこに書いてないのだと、Led Zeppelinのフィルコリンズを招いて再結成(後に失敗と認める)やQueenと入れ替わりに凋落していったボウイの急造バンドによるやっつけ仕事など、全てが悪かったわけではないものの、Queenの追い風状態が醸されてしまってるんですよね。


べ:でもあの20分間にできることをやり尽くした構成力と楽曲の強さと持ってるカリスマはやっぱりガチなんですよね…ステージは同じくウェンブリー、1年後に言うなればライブエイドの延長と言えるような大規模ライブマジックツアーを敢行した訳ですが、あれでいよいよライブバンドとしてのQueenが成熟しますよね。


ミ:あれが4人で最後のライブになってしまったのが、ロック界最大のwhat if ですが…ただ、この時期においても、初期の下手くそライブ時期から変わってないものもあるんですよね笑


べ:どんくさいブライアンの振る舞いかな…!?例えばどういうところにそれを感じます?


ミ:Wembleyのセトリが分かりやすいですけど、「One Vision」〜「Tie Your Mother Down」と、新旧のハードロックナンバーでキメて間髪入れず3rdの終曲「In The Lap Of The Gods」でクライマックスめいたのシンガロングを煽るんですよ。これで最初の10分。


べ:濃厚〜。


ミ:それ以外そこまでおかしくないものの、所々曲の使いどころがおかしい笑

 

べ:とはいえ、謎のフレディソロもクソ長ギターソロも様になってるし成長ってやつですよね。後出し上から目線。

 

 

ミ:そしてその時期に出た「A Kind of Magic」。僕はこれ以降のアルバムをしっかりとは聞いてないので、解説をお願いします。


べ:映画「ハイランダー」のサントラとしての役割を兼ねているんですけど、フラッシュゴードンの時のようなバチバチのサントラではないので1アルバムとして楽しめます。サントラな以上コンセプトは確立した作品なので、初期作品のようなコンセプチュアルな部分も併せ持ちつつこの時期の楽曲の派手さももちろんあって非常にQueenっぽいアルバムです。


ミ:やはりこのアルバムで復活したという声が多いですよね。

最近になって生き残り組がエイズを知らされたのがライブエイド後とか暴露しだしたので、本作の意味合いもまた変わってくるんですが...


べ:そこはなにも映画のタイミングで真偽のほどは別にしろ口出さなくてよかったと思ったんですけどね。ああいうところあんま良くない。


ミ:映画の不死の主人公たちにインスパイアされて「Who Wants To Live Foever?」を作ったはずのブライアンが、フレディに「ねぇねぇ今どんな気持ち?」って余命をネタにした内輪ソングを作ってたって話になりますからね…


べ:ある意味呪いですわよね彼の死も。

 

 

べ:まっ次にいきましょう。ライブはしない宣言もこの時期なんですけど、「The Miracle」発売!ここからクレジットが全てQueen名義になります。オールクイーンクレジットのアルバムらしく初っ端2曲はジャムセッション内で形成した曲らしいですが、相変わらず誰がどの作品作ったのかよく分かる感じがなんとも愛おしくて、私の1番好きなアルバムの1つです。


ミ:当時のファンはみんな何も知らずに無邪気に享受してたんですよね。キャリアを20年近く積んで新たなる黄金期を迎えたってかなりレアなケースですね。

 

べ:リリース年は1989年、日本では平成元年で世ではジャネットジャクソンの台頭なんかと時期を同じくしたみたいなんですけど、サウンドはこれでもかってほどQueenです。Queenっぽいんです、メンタル面での結託や長年の争点だったらしいクレジット問題の解決、ライブはしないという決断を下した以上、少なくともフレディの病状についてもバンド関係者内で理解を得た頃だったんだと思います。

今でもテレビで聴くわ!みたいな曲こそ入っていないものの、全キャリア中1番現在のQueenのステレオタイプっぽい音楽やってるアルバムだと思います、この頃のライブ見たかったな〜…

 

ミ:ある意味初めてバンド全員で協力して作ったアルバムですね。それと、ロジャーが迷走期のKYっぷりから一転してヒットメイカーになってるのが凄い。


べ:アルバム中ラストソングの「Was It All Worth It」がまたいいんです…!


ミ:「素晴らしきロックンロールライフ」という邦題がいい味出してます。


べ:「The Show Must Go On」がより死や幕閉じの匂いを感じさせる叫びと覚悟の曲だとしたら、そこへ向けて昇華させるための今までの「Queenそのもの」への肯定の曲で、それを踏まえた邦題もとても粋。なんだかこれまでこの企画でキャリア振り返ってきたのも報われるような…人間40歳で不惑と言いますがまさにそういう立ち位置のアルバムですね。…あかんミラクル好きやからまだまだ喋れるんですけど…


ミ:次行きましょう笑

 

 

終局。それは始まりのあとに、必ず訪れる。私たちの願いは、未来へと連なるのか。私たちの希望は、死そのものなのか。最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」…じゃなくて「シン・口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第4章」。さーてこの次もサービスしちゃうわヨ。なんとなく何が言いたいかわかるくない?よかったら次もチェケラしてね❤️

アジアのヒップホップシーンがアツいぞ

最近米ビルボードチャートでアジアのアーティストとして初めて首位を獲得したBTSを筆頭にアジア産の音楽が世界を騒がせているのはもうご存知だろう。

というわけで今回は掘れば掘るほど面白いアジアのヒップホップシーンについて紹介させてもらおうと思う。

 

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まずは中国。

先日上げられたLil PumpのButterfly Doorsの歌詞の中にアジア人を侮辱する内容の歌詞が含まれていると話題になり中国のラッパーたちがdis曲を次々と上げていったのだが、それを聞いた私はレベルの高さにとにかく驚いた。

 

その中でも四川成都市を拠点にするChengdu Rap Houseというクルーの中にAnsr Jというラッパーがいるのだが、彼のdis曲がとにかくカッコイイ。

 

youtu.be

 

ちなみに日本でも知られているHigher BrothersもこのChengdu Rap Houseから結成されたらしい。

 

youtu.be

 

見た目からしてもかなり個性の強い中国のミーゴスとも称されるラップグループ。

彼らはニューヨークを拠点とする「88rising」というアジアのカルチャーを発信するメディアプラットフォームの中のラッパー集団だ。

この「88rising」は今アジアにとどまらずアメリカやヨーロッパでも急激に注目を集めている。

 

 インドネシア出身のRich Brianもこの「88rising」 で人気のラッパー。

 

youtu.be

 

この「Dat $tick」はシリアスな曲調とクールなラップとは裏腹にRich Brianがピンクのポロシャツをタックインしてウエストポーチ姿で登場するというギャグ感満載のMV。

 

彼は義務教育を受けずにYoutubeで英語を独学で学んだりといろいろぶっ飛んだ面白い子なので気になった方はいろんなインタビュー記事があるのでぜひ見てみてほしい。

 

 

現在の韓国のシーンはというとやはり世界で大流行中のK-POPが目立つ。

国内の市場が狭い韓国は必然的に海外に目を向ける事になるわけだが、その海外志向の戦略が見事にハマって世界で盛り上がってきたというのがこの世界進出の理由として考えられる。

韓国で外国語の音楽が解禁されてまだ20年ほどしか経っていないことを考えると恐ろしい快挙だ。

 

韓国ヒップホップシーンはというとオシャレで映え感満載なヒップホップはもちろんゴリゴリのKeith Apeのようなヒップホップもある。

 

youtu.be

 

youtu.be

 

ちなみに冒頭でもBTSについて少し触れさせていただいたが、コリアンカルチャーを世界に普及させ、注目させた彼らはあのピッチフォークでもしっかり評価されているのでアイドルだからと言って舐めてはいけない。

pitchfork.com

 

 記事でも語られているようにこのグループにはラッパーが3人もいるのだが、それぞれがソロの活動でミックステープをフリーで配信したりとかなりヒップホップカルチャーを意識しており、アイドルだけではないアーティストとしての一面もある。

 

youtu.be

 

このようにアイドルとアーティストとの線引きが無いため音楽のレベルも高く、多様性があるのがこの国の音楽シーンの面白さとも言えるだろう。

 

そしてちょっと韓国っぽいテイストのオシャレなサウンドを使ったØZIのB.O.。

 

youtu.be

 

ØZIは台湾のアーティストでありヒップホップからR&Bまで幅広い音楽の作品を手がけている。

 

こういう韓国っぽいテイストは日本のSweet William&Jinmenusagiのso gooでも使われているが、このフロウやトラックの雰囲気は最近の流行のようなものなのだと感じる。

 

youtu.be

 

 

 そしてSweet William&Jinmenusagiに引き続き日本のヒップホップクルーについても語っていきたい。

 

youtu.be

 

このイントロは聴く人が聴けばわかるだろう…そう、「タクシードライバー」のテーマである。

彼らはサンプリングのチョイスがクソハイセンスな世田谷出身の幼馴染からなるHood愛溢れるクールなシティー派集団、「KANDY TOWN」だ。

 

youtu.be

 

クルーの一員であるRyohu(大好き)のバンドセットによる最高なライブの様子。

 

youtu.be

 Ryohuが参加してるDony JointのGood Timesで使われているサンプリング曲も山下達郎の「Sparkle」のようだが実際は違うらしい。(なんだろう)

 

…といったようにアジアのヒップホップシーンについて触れてきたが、音楽がネットやストリーミング配信を通じて国境を越えボーダーレスに触れていける今、カルチャーオタクの一員としてさらにグローバルに発展していくアジアの音楽シーンに目を向けていきたいという思いでこの記事を書かせていただいた。

ヒップホップを通じてグローバル化が進む若者のカルチャーについて興味を持ってくれたら嬉しく思う。

 それではまたいつか会いましょう!

 

もちこ

 

バンドが老いるということ〜Yesの来日を見て

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本当は書くつもりはなかったーライブ後、演奏の出来に「終わった出来事」として無慈悲にも脳の片隅に追いやられたYesのライブだったが、その後新旧問わず彼らのライブ音源を聞くにつれて、沸々と湧き上がる疑念ー今のYesはただプレイヤースキルの「老い」による劣化によってあの惨状を呈しているのだろうかという疑念ーが自分に今のYesに対して思うことを記事にするよう唆すため、こうして書いている次第である。よって、これは愚痴にまみれた陰鬱な散文であり、今のYes、その他の老人バンドのライブに行く足を遠のかすネガキャンである可能性も否定できない。だが、今までのロックシーンを作り上げた先人たちのファンとしては、「まだ現役の頃の雰囲気を感じられる」だとか「腐っても鯛」だとかフォローしきれていない珍妙な文章で変に持て囃すぐらいなら、死につつある様を正視して真摯に弔いたい。いや、本心を述べると最後に不死鳥のように復活して欲しい。David Bowieのようにやってのけた実例だってある。

結局この文章は何なのかーたとえ憧れの存在が老化して見てられない域に達してしまおうとも無関心になりきれない、一抹の期待を抱いてしまうことによって行き場のない悔しさや憤りがむくむくと湧いてしまう、そんな哀れな男の独り言がこの文章の正体である。

 

昨年のKing Crimsonのライブでは緊張と期待でおかしくなりそうだったのとは打って変わり、当日会場についても全くと言っていいほど高揚感には襲われなかった。むしろ、たとえメンバーが盛大なミスをしてもYouTubeのようには会場からブラウザバックできない、そのことが不安で胸がドキドキしていた。Alan Whiteがもはや数曲しか叩けないという正式メンバーなのか分からない状況である一方、バンマスのSteve Howeは著しい見た目の老化とは裏腹に、テクニック的には近年まで何とか踏みとどまっていた。だが、そうは言ってもとうとう誤魔化しきれないぐらいの劣化が訪れ、それが完全にバンド全体のノイズになりだしたと自分が実感したのは2018年のライブー前回の来日の後である。まるでギター初心者のようにたどたどしく弾く彼の姿には愕然とした。とうとうここまで来たかと。

 

 さて、ライブが始まってからの第一印象は「思ってたよりマシだった」。当然ながらメディアで聞くライブと会場で聞くライブは別物である。音のデカさで威圧されて何となく良く聞こえるように思った上に、何よりも目立ったBilly Sherwoodの歪んだベース音。CDでは本来のベースの持ち分を遂行するだけであったのが、いざ生で聞くと自分のたかだか23年間のライブ経験の中でもずば抜けてベースの音量バランスがでかい。

一応は若手扱いにはなる彼が土台を作り、なおかつテクニカルなプレイを前面に出しているので、マシに聞こえるのは当然と言えば当然。前回の来日では亡きChrisに気持ちを引きずられていたがためにちゃんとBillyを評価出来なかったが、今回はフラットに聞くことが出来たということか。そこまで特性があるわけでも、自分の好みの音楽スタイルを取っているわけでもないが、観客が望む最大公約数的演奏をしているお陰でストレスはない。

そしてドラムも前回に引き続き、サポートメンバーのJay Schellenが殆どの曲を叩く。もはや還暦手前の彼を若手と呼ぶのはおかしいが、後述するAlan Whiteのプレイに比べると瑞々しくパワフルで、現行のYesがパッと聞いた感じはまともに聞こえる1番の要因は彼の存在だ。

リズム隊が一回り二回り若いということもあり、第一印象は問題ない。ボーカルのJon Davisonもバンドにぐっと馴染んでいて、最初の来日のような違和感はない。さて、問題は初期メンバーのSteve Howeと、ある意味犠牲者のJeff Downesだ。

 

Steve Howeは先述したようにまともに弾けていない場面がいくらもあった。スケールを速弾きする際にミスタッチがそこそこあるのは許容範囲(むしろディストーションを入れずに古希の人間がここまで弾き切ることは驚異の域である)。むしろ、テクニック的には大したことのないメインリフのリズム感覚が狂ったまま弾き続け、偶発的ポリリズムになりかけた場面の方が、バンドの演奏としては悲惨であった。

テクニックが著しく落ちたとは思えない。1人でクラシックギターを爪弾くパートでは、10本の指を駆使して依然としてテクニックの健在ぶりを披露した。まともに弾けなくなったのはあくまでもバンド演奏の場での話だ。

元々彼はリズム感覚が優れていたわけではない。キーボードのRick Wakemanと2人して、BPMなる概念のないクラシック畑の感覚を引きずり、リブムキープとは無縁の突っ走りっぷりを全盛期では披露し、今は逆に本来の速度よりももたついているのである。無論、年齢も関係しているだろうが、どうにも意識の問題であるようにして大変モヤモヤする。

 

輪をかけてバンドの調子を狂わせているのがJeff Downes。「ラジオスターの悲劇」のピアノを聞けばわかるように、別に技巧派ではない。それにも関わらず度々Yesにスカウトされて本人の力量以上のタスクを課されてしまうのには同情してしまう。と言っても、弾けないフレーズを無理矢理弾こうとして毎回トチるぐらいなら何かしらの代替案を出してほしい。別に観客は彼に目の醒めるような(あるいはテクニックのひけらかしで下品な)ソロを弾いてもらいたいわけでもないし、彼の個性も未だにYesに愛想を尽かさず追いかけているファンにはちゃんと評価されているため、大胆に変えてしまっても大して文句は出ないだろう。

 

その一方で、ゲストとして途中から登場した初代キーボーティストのTony Kayeは、テクニカルなフレーズこそないものの、腕を大きく振りかぶって荒々しくオルガンを弾き倒し、やはり初期曲は本人が弾くのが1番だという納得のパフォーマンスを披露した。

そして介護されながらヨタヨタ現れたAlan Whiteも、力に欠けた省エネドラムを叩くものの、サポートのJayと同じドラムセットでもスネアの打音だけで彼こそがYesのドラマーだ!と確信させる安定感をもたらし、何故2、3曲しか叩けないのに意固地に引退しないのかをはっきりと自分の音で表明していた。 

 

今回アルバム再現を行った3rdアルバム。Tony Kayeのシンプルなオルガンは健在で、プログレというジャンルの抱える難解さよりYesの持ち味であるメロディーの親しみやすさが前面に出たポップなアルバムだ。そして近年の再現ライブの出来がどうだったかというと...いや、リンクは貼らないでおこう。

 

ここまで読んでいただいた人には分かるだろうが、今のYesが抱えているのは「身体的老化による演奏面での困難」ではない。「精神的老化による防げるミスの看過」という、よりたちの悪い爆弾を抱えているのだ。

演奏面だけではない。「本当に素晴らしい作品が出来るという確信がなければ新作は作らない」と職人気質な発言をしつつも、「過去のアルバム再現ツアー」という集客のために金の匂いがする呼び込みを続ける姿勢(既に名作は一通り再現し終わり、再現は二巡目に突入している)は、バンドとして新鮮さを保ち続けるには不健全な状況にある。

無論、かつての栄光を売り物にして老後の活動を行うバンドはいくらでもいるので彼らだけを責めることは出来まい。だが、こうも半端に「俺たちはまだやれる」と提示されて、ライブはミスが散見してグダグダ、となると、ファンとしてはモヤモヤして仕方がない。

 

思えば、Jon Andersonの気まぐれが頂点に達して2つのYesが現状存在している時点で、レジェンド枠の中ではかなり組織運営が下手くそなバンドであることは間違いないが、その2バンドにしても、片方は全盛期と全くそのままの演奏を披露し、新譜の話も宣言してファンの期待をくすぐりながらも、Jonの気まぐれ病が爆発して「新譜?何の話?」とバンドの存続も絶望的にし、もう一方は若手で空いた穴をどんどん補填してはいるもののソロイストがヘロヘロでどうしようもないライブを続けている。

 

90年代以降、決して楽曲の出来は悪くないが、屈託なく褒めちぎることが出来ないアルバムしか出てこなかったことも、結局はバンドが健全化する瞬間がごく少なかったからだと思うし、持つものはあるのにそれを充分に発揮できずに叩かれるという流れが定着したのは悲しい限り。そもそも本当に今のYesに絶望していたら、こんな誰に向けているのかも分からない愚痴を3千字も書くわけがない。あーあ。僕はYesが好きである。