Apollo96

地球の月から文化共有。音楽、映画、文学、旅、幅広い分野を紹介します。時々創作活動も。

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シン・口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第4章・最終回

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ディスクユニオンによくいる地味なおっさんではありません、「イニュエンドウ」にてスパニッシュギターの客演をしたスティーヴ・ハウ先生です。by apollo beshy




いよいよ最終回。当事者たちはとっても楽しかったこの企画、今回は死と花向けと残された音楽に触れて行きます。そして、大好きなQueenがこれからさらに歩む未来に寄せて!読んでくれると嬉しいな。「シン・口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた〜第4章・最終回」それでは参りましょー。

 

第一回の模様(映画「ボラプ」と2010年代のQueenについて)→

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

第二回の模様(「戦慄の王女」から「JAZZ」までのキャリアをおさらい)→

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

第三回の模様(「The Game」から「The Miracle」までのキャリアをおさらい)→

moon-milk-overtrip.hatenablog.com

 

 


べ:「Innuendo」はここで語るまでもなく出たタイミングも内容も、怒られるかもしれないけども死のタイミングまでもが完璧だったと後追いのファンは思います。


ミ:それこそデヴィッドボウイの遺作「Blackstar」は死の2日前に出されたこともあって、ニュートラルな評価が難しいですが、こちらは発売からフレディが亡くなるまでに半年の間隔があった上でちゃんとチャート首位を取ってるので、フレディの病のことを考えないとしてもやはり傑作だとは思います。後追いにはどうしても聞くのがしんどい瞬間がありますが(ストリーミングでえいやと聞く勇気がないので、この話をしている時点ではまだシングル曲しか聞いてないです)。


べ:地味にジョン作と思しきものがないのもクるんですよね…


ミ:実はQueenらしさを取り戻してからジョンが決定的な大盤振る舞いする瞬間ってないんですよね。


べ:なんだかなー…


ミ:メイが相変わらず余命をネタにした精神的にもボーカルのキーの高さ的にもキツい曲を持ち込む仕打ちをして、ロジャーが素晴らしい弔いソングを提供する一方で、1人だけちゃんとフレディを送り出せなかったっていう図式は、切ないです…


べ:なんかそういうエグみが見えてきてあんまり聴けない。内側へ内側へ向かっていくアルバムな感じがする。

でも、だからこそ1曲目「Innuendo」は、タイトル通りの「イニュエンドウ(当てこすり・皮肉)」な歌詞であったり、数年ぶりに作られた初期楽曲を思わせるようなABCA’構成の曲展開だったり(Breakthruのようにもともと独立した2曲を繋ぎ合わせた曲は別として)、変拍子が取り入れられたりと、これまでに例を見ないほど外の世界へ食っていくような、今までのQueenにはなかったタイプの野心的な曲なんですよね。しかも初期作を踏襲して確信犯的にそれをやっている。珍しく客演があるのもそういう狙いがあったのかなとか思ったり。


ミ:なんたってたまたまスイスで飯食ってたスティーヴハウを連行するわけですから。


べ:このアルバム、リアルタイムで聴いてたら「おっなんかQueen流れ変わったな」ってなってたのかな。


ミ:あくまでも「Blackstar」の話ですが、僕は発売の前年に表題曲が公開されたときからめちゃくちゃ聞き込んでましたし、何も知らなかった当時のファンはニコニコして聞いてたんでしょうね。


べ:難しいですよカリスマの死は…


ミ:亡くなるまではタブロイド紙がエイズ疑惑を掻き立ててただけでしょ?


べ:らしいです。で、公表の翌日に亡くなられたと…

今作については死とは切り離した音楽のお話をしたかったんですけど、やっぱ避けられないですよね…

 

 

べ:ほんでから数年後に出たアンコールアルバム、「Made In Heaven 」。


ミ:この座談会の出だしでは2人して法事商法だとか言ってしまいましたが、フレディがいなくなってから「Made In Heaven」が世に出るまでに4年かかったという事実は重いですね。


べ:レコーディング初期段階ではブライアンメイは精神的重圧から加われなかったとか。


ミ:何百時間と、20年来一緒にいた仲間の遺した記録と向き合わなきゃいけないわけですからね。曲数も足りない中、ちゃんとした、というか素晴らしい弔いアルバムになったのは本当にすごいと思います。


べ:メンバーにとっても自らとQueenとの関係を今後どう捉えていくかの分岐点になったわけですからね。メイとテイラーはQueenとして残されたものという立場をとり、ディーコンは自分にQueenの名前を冠さなかった…ミュージシャンにかかわらずあらゆる分野で遺された共作者の振る舞いなんてどうあがいても賛否の上がるものですから、2方向の道が拓けたのはファンとしても良く捉えて然るべきことだと思います。

 

ミ:特に圧倒的なカリスマですからね。他に類を見ない。

 

べ:でも面白いことに日本においてのこのアルバムって妙にメジャーなんですよね。「I Was Born To Love You」が入ってるから!


ミ:「I Was Born To Love You」は実はフレディ死後に残りのメンバーが再録したソロ名義での曲だったってのが、後追い世代がQueenを聞き出して1番最初に驚くポイント。


べ:これドラマ主題歌だったんですよね。プライド、ふんわり見てた記憶あります。我々くらいの年代の若手のファンはここから入った人も多そう。キムタクからのフレディからのQueenですよ。やたら再放送してたし…


ミ:何を隠そう僕もドラマの販促ベストアルバム「Jewels」から入った人間ですから笑 プライドまた再放送決定ですよ笑


べ:そんな曲がいてくれるおかげで思いのほかポジティブに聴けるし、めちゃくちゃブックオフにあるメイドインヘヴンさん…


ミ:しかも発売当時の盤。


べ:内容としては、図らずしもフレディマーキュリーの死(のみならず生というテーマも)を主題にせざるを得ないアルバム作りの中で、本来のQueenの強みであるコンセプト性ががっちり生きてきていて、追悼要素を抜いてもめちゃくちゃいい出来なんですよね。


ミ:しかもゴスペルソングなどの新機軸があって、音は流行に乗れているというマジック。


べ:憶測も混じりますけど、フレディはゾロアスター教の教義に倣って火葬されたんですが、そういうバックグラウンドもあってか、あまり欧米文化の根底にあるはずの向こうに於ける普遍的宗教性を打ち出さずニュートラルに「人間対人間」として故人を悼み安息を祈るようで…。そういう型を超えた友人へのメッセージたるスタンスが好きですね。


ミ:ロックの啓蒙主義的思想をやり抜いた理想のエンディングですね。ここで終わっていたらですが。

 


べ:続いちゃうんですよね…


ミ:弔い方は人それぞれですが、彼らの場合は「フレディを忘れるな」というベクトルに傾くんですよね。


べ:おそらくそこに汚い商魂も何もなく本当に無垢にやってるっぽいんですよね。


ミ:全く関係ないんですが、僕の好きなゲームFF10の最後のセリフ「いなくなってしまった人たちのこと、時々でいいから思い出してください」が、今のQueenの法事合戦に重なってくるので、現存の2人のやり方には共感出来てしまうんですよね。


べ:(我々の指すところの法事商法について)民衆の圧倒的共感は確実に得ていますし、なによりも新たなQueenを認められないだけのパワーがフレディマーキュリーには確実にありましたもの。実際に身動きは取れないよなぁと思い…いや…一個問題作ありましたね。


ミ:えっ何かあったっけ。


べ:コスモズロックス…


ミ:いなくなってしまった人たちのこと、時々でいいから思い出してください


べ:


ミ:なお、ポールロジャースはいなくなってない存命の人たちを思い出して古巣に帰った模様。


べ:……ちなみにフレディの言葉に「時にはそのままにしとくのが1番良かったりする」っていうのがあるそうです。


ミ:大川○法総裁を介して2人に言ってほしいですね。

 

これは貼るべきなんだろうか…

 

ミ:で、アダムランバートですね。


べ:アダムくんです!ミュージカル歌手のケリー・エリスと組んだりレディガガと組んだり、なにかとコラボプロジェクトをやってみたりカメオ出演したりと色々やってらっしゃる昨今ですが、メインの活動はQueen+Adam Rambertですね。


ミ:一番脂乗ってる時期にそんなことしてていいのか。いや、むしろ本望だろうけど。


べ:いま映画ボラプにも「歌声出演」したほどのフレディに歌声激似兄貴マークマーテル氏とやたらに比べられているみたいですけど…まあそれはお門違いですよね、「プラス」アダムランバート名義ですし。


ミ:JourneyやYesみたいにどこぞやから声がそっくりさんを連れてくるのとは訳が違うので…


べ:フレディ連れてきたわけじゃないのに…
でもこういう批判が起こるのも、ぶっちゃけオリジナルメンバーもとい現行プロジェクトスタッフがフレディ連れてきましたでェ〜っていう演出してまうからなんですよね。


ミ:正直そこら辺のマネージメントは爺さん2人が悪い。新しく関係を構築するならQueenである必要ないですし。


べ:なんだかアダムだけが割食らってるという感想しか湧きません…


ミ:ポールロジャースの時は何だかんだでQueenとは違う領域を確保しようと試みていただけに、お飾りの王様/女王にしてはアダムの才能が腐ってしまう。


べ:正直いま映画プロモーションにゴリゴリ参入していく2人にも同じ危機感を感じます…


ミ:メイもロジャーもミュージシャンとしてはまだまだ現役として通用するスキルがあるので、最後と言わず、もう一度冒険してみてほしいです。


べ:そうなんですよ〜年始にブライアンメイ名義で久々のソロ曲がリリースされまして、とってもいいんですよね…


ミ:ロジャーもかつての一本調子とは違って、いぶし銀を使いこなすことで老いをうまいこと活かしてソロを出してるので、映画のドサ回りツアーに終わらないものをやってほしいですね。


べ:初めに述べた通り、生きたQueenが映画を通して観れた今だからこそ、今までにない生きた本物のQueenがこれから何をするのか楽しみにしたいところ。


ミ:とは言ったものの、どうせベストヒッツのQueenメドレーライブになるんだろうなぁ〜。行くけど!


べ:おそらくアプローチは変わらないだろうし、聴衆も求めるものはそこなのでまあそれで正解なんでしょうけど、どうにか映画がああいう昇華を見せたように2019年に生きるQueenが見たい!…そしてジョンディーコンよ幸せであってくれ!!


ミ:ジョンよ永遠なれ! 以上、ありがとうございました。


べ:God save the Queen を各自流すように!どうも!

 

 

 以上4回に分けてお届けした「口の悪い若者2人がQueenを好き放題語ってみた」シリーズ。もしも何か誤解があればここでゴメンナサイを。

べしちゃん「プライドのキムタクから、ハッチポッチステーションのグッチ裕三から、ワシ買〜うもんカップヌードル〜から、頑張れ田淵の空耳アワーから、40周年リマスター祭りから、映画ボラプから、入り口は様々、どこかでQueenと出会ったはずの我々世代。来たる未来にもQueenの素敵な音楽が私たちと手を取り合って寄り添ってくれますように。そんな願いを込めてここに締めとさせて頂きます。お付き合いありがとうございました、べしちゃんとミヨシでした!」

 

ミヨシ a.k.a. ジョンちゃんの生き霊「う〜ん、よく分かんないなぁ。ゴミ箱にでも捨てておいてよ笑」

 

これにて完結。